ウィーン
その一 3/7
ベネチア第一日目。いろいろ細かい不便はあるものの、今のところ大きな不具合は起こっていない。
次のボートまで十分あるので日記書いておこうと思ったら、予想に反してすぐに来てしまったので中止。
二日前。ベネチアで良い気分で「大きな不具合は起こっていない」などと書いたあと、急転直下、ほぼ最悪の形で旅行は幕を閉じることになった。この腹立ちを一体誰にぶつければ良いのやら。関係者をぶち殺してやりたい。五年前の正月とほぼ同じかあるいはそれ以上の打撃である。どこまで俺の人生をメチャメチャにすれば気がすむんだ。疫病神がもたらした災厄としかいいようがない。正直他の人、特に家族や親戚とは口をききたくない。
とりあえず日記を仕上げておこう。3/7のウィーン(→)(この辺)から。列車は朝六時ちょっと過ぎSüdbahnhof(今から考えるとおそらく南駅)に到着。ザルツブルク行きの列車を探すが見つからず。どこか他の駅発らしい。次に地下鉄等の切符を購入し(24h5€)ユースホステルのあるヒュッテルドルフ行きの地下鉄を探す。駅構内に路線図が貼ってあるもののかなり複雑で、自分がどこにいるのかを探すのにさえ大分苦労した。どうやらここには地下鉄の駅は無さそうなので外に出て少し歩き地下鉄の駅へ。ここから地下鉄ではなくS-bahn(地上電車)に乗って終点のヒュッテルドルフへ。
駅を出て運河を渡ったら点々とユースホステルの標識が出ていたので苦労せず見つけることができた。ドミで13€。かなりきれいなホステルである。部屋がまだ準備できていないというのでラゲッジルームにバックパックを放り込んで出発。
レセプションでザルツブルク行きの列車を聞いたらWestbahnhofだと教えてくれたので、まず地下鉄で西駅へ移動。ザルツブルク行きの列車の時刻をチェックする。七時半くらい発で十時半から十一時着の数本に狙いを定める。
そこから地下鉄でシュテファン教会(→)へ。地下鉄の階段を上りきると巨大な伽藍が頭上からのしかかってくる。圧巻である。まずはその辺のベンチに座って駅で買ったサンドイッチみたいなのを朝食に食べ、聖堂の中を見学する。非常に荘厳な装飾だが、プラハのカテドラルには及ばないか。
教会を出て外をしばらくうろうろしたあと王宮(→)へ。入場料8.9€。最初は銀細工やハプスブルク家(→)の食器類の展示。あまり興味は無かったのだが、華麗な装飾が施された膨大な食器類を眺めていると当時の食事の様子が偲ばれ、またハプスブルク家の巨大な財力を感じることができて、結構面白かった。
次に宮殿内部の見学なのだが、こちらは少し期待はずれ。宮殿の豪華な部屋部屋を見たかったのだが、多くの部屋は展示用のパネルの壁で覆われていて、部屋の様子をそのまま見ることができる部分は意外と少ない。
宮殿を出て庭園を見物し(庭園そのものよりもそれを取り囲む宮殿の建物群が見事である)、市庁舎の辺から国会議事堂などを眺めつつぶらぶらとウィーン国立歌劇場(→)まで歩く。ウィーンではチャンスがあったらコンサートに行ってみたかったのだが、客引きに来るのはほとんどが観光客向けじみたものが多く、かつ時間が遅い(夜八時から十時くらい)のでやめておく。
オペラ座まで歩き内部見学ツアーの時間を確認し、十五時スタートのツアーに狙いを定めて、大急ぎでシェーンブルン宮殿へ移動する。地下鉄で十五分くらい。
シェーンブルン宮(→)。ハプスブルク家の夏の離宮。11.5€。先ほどの宮殿とはうってかわって、こちらは展示はほとんどなく、生の部屋部屋の見学がメインである。
ドバイ行き飛行機に搭乗した。個別モニター付きエコノミー。ゲームも電話も出来ます。隣の席には電源タップまで着いている。素晴らしい。さすがに裕福な国の航空会社は一味違う。
ウィーンの続き。シェーンブルン宮。エルミタージュみたいな豪華絢爛たるものかと思っていたのだが、あそこまで金ぴかキラキラなものではなかった。とはいえ延々と続く部屋の数には驚かさせられる。見学できるのは四十室だが、それでもかなりの数である。全部見ようとしたら絶対に迷うだろう。
宮殿を出て裏の庭園へ行き、丘に登る。ウィーンの街を一望できてなかなかの眺めである。どちらかといえば市中心の宮殿よりも、こちらのシェーンブルン宮の方が見応えがあると思う。
シェーンブルン宮を出て、オペラ座へ急いで戻る。二時四十五分くらいに着いたのだが、見学コーナーの入口はまだ開いてもいなかったので、歩いて楽友会ホール(→)の方へ行ってみる。世界三大ホールの一つということでこちらも中を見ておきたかったのだが、ツアーは一時からの一回きりなので入れなかった。当日のコンサートのチケットが手に入らないかなあ、とプログラムを眺めてみたら、幸か不幸かウィーンフィル(→)の定期公演の日で、手に入れるのはまず不可能っぽいのであきらめオペラ座に戻る。
見学ツアー6.5€。日本人多し。すげー多い。五十人くらいいると思う。日本語のツアーは三時の一回だけだというのもあると思うけど、それにしても日本人が多い。しかも八割近くが女性である。みんなクラシックが好きなのか、それとも潜在的に興味があるのか。それとも単に「地球の歩き方」に大きく紹介されているからなのか。
なんにせよ日本人が多過ぎて修学旅行みたいで気持ち悪かったので、英語のツアーの方に参加することにする。こちらは15人くらい。他に二人日本人のカップルがいる。と思ったら広東語しゃべってた。で、ホールの中の見学は半分以上がラウンジみたいなところである。コーヒーやワインを飲みながら談笑する。ホールが社交の場としていかに重要だったかがわかる。昔は演奏中も客席でおしゃべりが絶えなかったので、当時指揮者だったマーラー(→)が場内の照明を落としてしまったんだ、とのこと。場内の装飾もさることながら、こういうホールの「存在意義」というのを知ることができて面白かった。定めし昔の日本の銭湯や床屋、今の居酒屋や公園といったところだろうか。
・・・ただいま離陸。画面で機首のカメラを見ることができて面白い。Webカメラだったらもっと面白いのだが。
オペラ座を出て近くのオペラ博物館へ。パネルでオペラ座の歴史(指揮者とか演目とか)を並べてあるだけで、特に面白くない。
そこを出て地下道のお店でピザみたいなのを遅い昼食に食べ、地下鉄でハイリゲンシュタットへ。駅の周りはただのサバービアで歩いても何も無さそうなので、バスに乗ってカレンベルクへ。バスに乗ること三十分ほどでウィーンを一望できる丘の上に着くことができる。画この日は少し霞がかっていて、市内はよく見えなかった。風がびゅうびゅう吹いて寒かったので十分ほどでバスに乗って戻る。六時少し前のことだったのだが、バスに乗って丘を下る途中に、灯りのともり始めたウィーンの夜景がちらりと見えた。もう少し丘の上で粘って夜を待っても良かったかもしれない。あとバスは途中でなんとかかんとかいう村を通過するのだが、居酒屋が何軒も並んでいてなかなか良い雰囲気である。夕暮れ時にぶらぶらしてワインを飲み歩くのも楽しそうだ。
ハイリゲンシュタットから再び地下鉄に乗って中心部に戻り、夜のウィーンをぶらぶらする。オペラ座からシュテファン教会へ続く目抜き通り。日本人多し。あとピアノを弾いたり、バイオリンの三重奏をやっていたり、音楽の都ならではの光景も。あんまりうまくなくて、道端で練習しているだけのようにも見えたけど。
ぶらぶら歩いて宮殿まで歩き(ちょうど七時になって威圧するような鐘の響きが宮殿から聞こえてきた)、市庁舎の前まで行って見学し、トラムでオペラ座に戻り、オペラ座から地下鉄でホステルに戻る。ヒュッテルドルフの駅でケバブを買って夕食。3.5€。ホステルに戻る前にスーパーで飲み物を買って帰ろうと思ったら七時で閉店してた。いくら何でも早過ぎだろ。
ホステルに戻ってシャワーを浴びてさっさと就寝。
今日の歩数 37240歩
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