ラサ
その五 10/17
疲れた。
今朝は6時過ぎに起床。起きたら昨日ナムツォに行ったきり夜中まで帰ってこなかった大連のおっちゃんが帰ってきていた。どうしたことかと話を聞いてみると、ラサに帰る途中で高山病で吐いて、ラサに帰り着くなり病院に直行、12時過ぎにようやく帰ってきたらしい。景色はとても美しいけど、絶対に興奮するな。後めちゃめちゃ寒い。東北出の俺が言うんだから間違いない。とのこと。聞いててなんだか怖くなってきた。寒さ対策にTシャツ以外の服を全部(といっても羊毛のトレーナーと厚手のボタンダウンシャツ、ウィンドブレーカーだけだけど)着て、靴下を二枚重ねにして出発。
歩いていけば十分に間に合うだろうと外に出たんだけど、七時のラサは真っ暗で、サイクルもバスもそもそも走っていなかった。集合地点(ポタラ宮脇の交差点)には結構人が集まっている。
外の景色は驚くほど美しい。まるで絵の中を走っているかのようである。期待以上だ。
昨日のことを少し書き進めておこう。七時過ぎにバスがやってきて出発。最初しばらく青藏鉄路と並走して走り、途中羊八井と念青唐古拉山口を経由して十時半くらいにかなり早い昼食。羊八井には地熱温泉があるんだけどほとんどトイレ休憩である。トイレに行って温泉の湯気の写真を少し撮ったら出発。ほとんど何も見ていない。唐古拉山口も同様で五千数百mの高峰をバックに記念写真を撮ってすぐに出発。昼食は重慶飯館で例によって八菜一湯なんだけど、ここのはツアーの料理にしては珍しくおいしかった。
途中となりの席の広東から来た女の子とずっと話をしていた。鉄道が開通してすぐにラサに来て、今回が二回目、明日のバスでネパール(だったかな?)に行くとのこと。雲南にも行ったという話で中国人は本当に旅行好きである。後ラサではとても多くの広東人に出会った。ポタラ宮の行列で話をしたのも、大昭寺に一緒に行ったのも広東の人だし、ユースホステルの同部屋で、別のツアーで今日ナムツォに行っているグループも広東人だった。やはり広東人は金を持っているんだなあと実感。他に出会ったのは深圳、大連、北京、みな沿海部の都市である。
昼食後ナムツォの入口に到着。バスは山登りを開始する。登るに連れてまわりは徐々に雪景色に。広東の女の子のボーイフレンドはすっかり興奮してしまって大騒ぎしていた。どこから着たのか知らないけど(女の子とは普通話で話をしていたので広東ではない)雪を見る機会が少ない、あるいは初めての南方人なんだろう。
途中海抜5190mの最高地点で再び記念撮影タイム。普段は自分の写真なんて取らないんだけど、この時ばかりは記念撮影をしておいた。ここからははるかにナムツォが見える。
そこからは一路下りで4700mのナムツォへ。高山病が怖くてゆっくりゆっくり歩いてたんだけど、とにかく寒い。フードをかぶらないと耳が凍りそうである。手袋準備しておくべきだった。
景色は確かに美しい。風が強いせいで波があって、まるで海辺のようである。そして向こうには雪山が連なっている。単に標高が高いだけでなく、景色としてもとても美しい。ゆっくりゆっくりと一時間半をかけて散策する。まあ何しろ寒かった。
写真を撮りすぎてバッテリーの残りが心細くなってきた。昨日満タンにしておいたんだけどなあ。
ナムツォを出るときに問題発生。客の一人が時間になっても戻ってこない。20分ほど過ぎて他の乗客が怒り始める。どうも湖脇の山に登ったまま戻ってこないらしい。みんな早く出せ早く出せと騒ぎ始める。こんなところにおいていかれるなんてかわいそうだなあと始めは思っていたのだが、どうも携帯の連絡とかが不誠実で、まともな客ではなかったみたい。40分遅れでその人(女性一人)をおいて車を出したんだけど、5分くらいして「下山した」という連絡があったので車を止めて彼女が来るのを待つ。でも「タクシーに乗った」という連絡があってから20分近く待っても現れず、結局おいていくことになった。道ばたで待っていた時なんか、他の客は「車を出さないなら俺たちが降りる」とか言い出して(実際にちょっと下りた)そういう対応を見るのは面白かった。
帰りは例によって二カ所買い物タイム。牦牛製品なら買いたかったんだけど、サプリメントみたいなのと漢方薬だった。さっきは早く出せとあんなに騒いでいた客も、ここでは結構楽しそうに物を買っている。
結局19:30くらいにポタラ宮の脇に到着して解散。帰りがけに列車内用のミカンをいくつかと、お土産用に酥油茶のパックを二つ購入。ラサではついに酥油茶も甜茶も飲む機会がなかったなあ。ついでに市場の中で食事。砂鍋面6元。砂鍋は辛いものと思っていたけど、ここのは清淡でなかなかおいしかった。
不思議なことにこの市場では一言二言しゃべっただけで「日本人か?」と見破られてしまった。他の都市ではなかなか外国人とばれなかったのに、ばれても一言目は「韓国人か?」なのに、なんでなんだろう。食堂では「砂鍋面」と言っただけで日本人とばれたもんなあ。
ホステルに帰ってバタバタと荷物の整理。ついでにSync!3のバージョンアップ作業をしたかったんだけど、いくら頑張ってもiDiskに安定的にアクセスできなかったので断念。Apple死ね。
寝る前に大連の韓さんと日本のアニメの話。宮崎駿とか押井守とか大友克洋とか。詳しくは聞かなかったんだけど、大連でそういう関係の仕事をしているらしい。クレヨンしんちゃんかなにかの作画監督(?)とは月に一、二回あってるんだとかなんとか。枕が低い→本を枕の下において寝るとその本の夢を見る→ドラえもんで見た、という流れで日本のアニメの話になったというのもちょっと面白い。宮崎駿の引退についてはずいぶん残念がっていて、「世の中から良いものがどんどん少なくなっていく」と嘆いていた。
今日の歩数 13727歩
|
|