砂の町ホータン・沙漠公路その一 7/12
ようやく今日の話。バスは二度のトイレ休憩をへて朝八時にホータンに到着。このくらいの時間がちょうど良い。ですぐにチケット売り場に行くと、例によって東へ向かうバスが無い。窓口で聞いてみると東郊汽車站へ行け、という。どうして一つにまとめないのかなあ。いちいち実に面倒くさい。 タクシー5元に乗って東郊汽車站へ移動。確かに東行きのバスがあるにはあるんだけど、ゴルムドはおろか直接チャルクリク(若羌)へ行くバスすら無い。いろいろ聞き回ってみると、まず且末へ行き若羌、ゴルムドと乗り継いでいく必要があるらしい。しかも且末行きのバスは夜八時まで無い。実に面倒くさい。じゃなくてそんなことをしている時間はない。 仕方ないのでウルムチに戻ることにする。ウルムチなら西安行きの列車がたくさんあるのでどれかに乗れるはずだし、最悪飛行機もある。ということで再びタクシーに乗って元の公路汽車站へとんぼ返り。 運ちゃんの手引きで11時発のチケットを購入310元。ずいぶん高いなあと思ったら空調付きの新品ピカピカのバスである。天井にはまだ養生用のビニールが貼ってある。席も比較的広いし、これなら快適そうだ。特に今回は砂漠のど真ん中を縦断する道なので、空調無し車で窓を開けるのは厳しいはず。ちなみに明日の朝七時にウルムチに着くということだが(北京時間か新彊時間かは聞き忘れた)、七時だの六時半だのいう割に四時半に着くんだよなあ。 出発まで一時間半ほどあったのでホータンの町を歩いてみる。ウルムチ、トルファン、アクス、いろいろなところからバスが来ているのでどんなところかと思ったら、何のことはない、クチャやアクスに毛が生えた程度の田舎町である。ちょっと歩いてみたら商店街やバザールみたいなのもあったけど、まだ時間が早いので(新彊時間で七時半)全然開いていない。 ホータンの町で特徴的なのは砂である。商店街歩いていたら店の前の砂を掃いている人がいて、一晩でこんなに砂がたまるものなのかと驚いたのだが、気付いてみれば道も砂だらけ、車も砂だらけ、道ばたの植物も砂だらけである。安部公房の『砂の女』みたいにそのうち砂に埋まってしまうんじゃないかと思ってしまう。この辺のニヤ、楼蘭、米蘭なんていう遺跡もそうして埋まっていったんだろうな。 あと、ホータンといえばやっぱり玉でしょ、ということでバス停の前で老人から玉「みたいなもの」を二個購入。二個で6元。携帯のストラップくらいにはちょうど良い。 ということでようやくバスは出発。なんだけど、席が埋まっていないみたいで、あちこちで客を乗せようと停車しながら進んでいて、一向に先に進まない。いい加減あきらめて出発して欲しい。
バスは延々と砂漠の中を走っている。タクラマカン砂漠は乾いた土塊と石ころの沙漠だと思っていたのだが、それは外縁部の話で、内部は砂ばかりのまさに砂漠だった。その砂漠を縦断する600kmだか700kmだかの道路を造ったというのもすごいが、更に驚いたことに、道沿いに延々と防砂林の植樹をしてある。気の遠くなるような作業である。長城といい運河といいカレーズといい、中国人のこういう超巨大プロジェクトをやり遂げる能力というのは大したものである。 あともう一つ、途中で小さな砂嵐に遭遇した。まあ嵐というほどのものではないが、なんだか前の空が黒いなあと思ったら、すぐに空が黄色くなって視界が10mも効かなくなった。視界が悪くなってバスが一時停車したときにトイレにかこつけて外に出てみたのだが、空気に砂が混じっているような感触である。また道の上の砂が風に吹かれてまるで生き物のように動き回っているのも奇妙な光景である。更に砂漠の中では小さな竜巻のようなつむじ風の柱が何本も立っていたりする。自然というのはすごい。青海には行きたかったけど、この砂漠縦断バス旅行というのもまたとても面白い。 今日の歩数 13242歩 そうそう、途中午後三時頃どこぞで昼食タイムがあって湯面(3元)を食べたんだけど、中は麺じゃなくてぶつ切りの薄いすいとんみたいなのが入っていた。これじゃ麺ではないじゃないかと不思議に感じたのだが、そこでふと気がついた。それで他の料理がみんな「拉面」(のばした面)という名前になっているのね。料理は奥が深い。
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