敦煌

その三 7/3


7/3 18:13トルファン行きバス内にて

 卧铺大巴というのに初めて乗るんだけどなかなか快適である。ただ客が全然乗ってなくて俺含めてまだ五人。18時発の予定なんだけどいつ出発するのかな?
 今日はゆっくり目に8時ちょっと前起床。昨日の白蘭瓜と李広杏(だか李光杏だかが正しい名前らしい)とビスケットで朝食。
 10時に予定通りにタクシーが迎えにきたのでチェックアウト。ホテルは慣れると意外と快適だったかも。もっときれいで安いところも探せばあるとは思うけど。
 まずは玉門関へ。同じようなことばかり書いているけど、本当の何も無い沙漠の中を一時間ちょっと車で走る。本当に地平線まで全く何もない。これにはちょっとショックを受けた。
 もう一つ衝撃だったのはチケット売り場。30元の門票を買ってから延々と車で走る。誇張でもなんでもなく本当に延々と。チケット売り場から玉門関までたぶん7、80Kmはある。ギネスブック級である。
 玉門関。沙漠のまっただ中の古代の砦。長城と同じで作る方も攻める方も良くやるわ、という感じ。北京の方は山の中、こちらは沙漠の中、という違いはあるが。ここは関の遺跡そのものよりもまわりの沙漠の方が見応えがある。


7/3 18:38トルファン行きバス内にて

 バスは敦煌の町中を走り回って客をどんどん乗せている。なるほどそういうシステムなのか。
 昨日分で書き忘れたんだけど、今日も結局同じタクシーをチャーターして玉門関、漢長城、西千仏洞へ行き、トルファン行きのバスターミナルへ連れていってもらうことにした。200元。誰か道連れを見つけられたら良かったんだけど、結局一人で乗る。
 玉門関から4Km走って漢長城。門票は玉門関に込み。崩れたり砂に埋まったりして残っているのは3〜4割というところか。他にのろし台とのろし用のわらが残っている。長城はわらと土を交互に重ねて固めたものだが、想像以上に堅くて、まるで岩のようである。昔の技術はすごい。あ、玉門関やのろし台、長城の一部は柵で囲われていて手を触れることはできないが、さすがに長城全部を囲むというわけにはいかず、ちょっと歩けば触ることも登ることもできる。午後二時の凄まじい直射日光の中しばらく長城に沿って西に歩いてみたが、そのままどこまでも歩いていきたい気分になる。しかしそれにしても暑い。
 そうそう、これも書き忘れたけど、玉門関を出たところで昼食。例によって敦煌拉面10元。おいしかった。
 漢長城を出て市内に戻る途中、西千仏洞に寄る。30元。昔はいっぱいあったらしいけど、川の氾濫などで大部分が破壊されて、現存しているのは16ヶ所だという。その中の六カ所くらいを見学。他に客もいなくてガイドと一対一だったのでわかりやすく説明してくれて助かった。西千仏洞は1200〜1500年前のものが主で、莫高窟の最も古い窟と同じくらいである。なので単に古いという価値はあるのだが、逆に芸術性には乏しいみたい。ただとにかく一人で見学ということで、ゆっくり見ることができてきて良かったと思う。
 そこから戻る途中には敦煌古城、日本の映画『敦煌』を撮ったセットがあるのだが、要は偽物なのでここはパス。井上靖の原作には大いに影響を受けたけど。ちなみに本物の古城は元々白馬塔の辺で、城壁の残骸も少し残っている。昨日タクシーの運ちゃんに教えてもらった。モンゴル軍に破壊されて現在の位置に再建されたらしい。


7/4 0:50どこかにて

 どこだここは。ハミのちょっと先かと思うけどよくわからない。真夜中の夕食タイム。ようやく眠れそうな矢先だったのに起こされてしまった。暗くなって二時間ちょっと、今がちょうどこの辺の夕食時間なのかもしれないけど。
 敦煌古城はパスしてそのまま市内に戻る。今日のタクシーはこれで終わり。トルファン行きのバスターミナルで下ろしてもらう。また書くのを忘れていたがチケットは朝玉門関に行く前に運ちゃんの手引きで購入しておいた。トルファン行き卧铺で148元。
 バスターミナルで下ろしてもらって出発(18時)までまだ二時間あったので、運ちゃんの知合いらしい雑貨屋で休憩する。運ちゃんとはここでお別れ。結局都合三日間もお世話になった。
 王建国 13830716526
 あとこのお店で衝撃的な情報を耳にする。店を出ようとしたら店のおばさんが一冊の本を出してきて、俺に見せる。何かと思ったら楼蘭の写真集。聞くと旅行社の仕事もしていて敦煌から楼蘭のツアーをやっているという。楼蘭は行ってみたかったので話を聞いてみて、その値段に呆然。パンフの価格のところに通貨単位が書いてなかったので本気で日本円表記かと思ったのだが、楼蘭、米蘭、ロプノールを訪れる五日間のツアーでなんと・・・


 6.2万元。
 とても信じられる値段ではない。聞くと入場料がそもそも4万元するらしくて、車もランドクルーザーみたいなのに乗って(日本高級野外車と書いてある)探険冒険感覚で行くらしい。参加者は日本の老人が多い?と聞いてみたらやっぱりそうみたい。俺にはとても無理だな。友達連れてきたら2万元にまけてあげる、といわれたのだが、そんな酔狂な友達がいるわけない。
 ここでついでに水とお菓子類を購入14元。ちょっと高い。まだちょっと時間があったので网吧で40分ほどメールのチェック。3元。数日見ないと山のようにスパムがたまっていて選り分けるのに一苦労である。Webメールだ


7/4 7:35トルファン行きバス内にて

 昨日は日記を書いていたら突然消灯になって途中で途切れてしまった。バスは今トルファン手前、火焔山あたりの赤い渓谷を走っている。
 ・・・Webメールだとスパムフィルタを使えないので、どうしても自分で選り分けざるを得ない。面倒くさい。
 网吧を出てバス停手前で飯。この辺の名物らしい驢肉黄面10元。ロバの肉と日本のラーメンみたいな黄色い麺である。食感はパスタに近いかも。まあおいしかった。
 バスを待つ間近くにあった旅行社でツアーの価格をチェックする。莫高窟、白馬塔、鳴沙山、月牙泉で30元。玉門関、漢長城、西千仏洞、陽関で130元(どちらも門票含まず)とのこと。意外とタクシーと大差無い。玉門関コースは俺は陽関を外して200元に抑えたが、陽関入れると300元とのことだったので、三人で乗ればタクシーの方がむしろ安上がりである。バスのチケットを手伝ってもらったし、車内でトルファンの観光計画を教えてもらったり、他にもいろいろ話をして勉強になったし、今回はタクシーで正解だったみたい。
 でバスに乗ってトルファンへ移動中。卧铺は座席に比べると確かにはるかに快適であるが、眠るのに適しているかというとちょっとつらいかも。しかも夜中の食事タイムのせいで寝たのは一時だし。電車の方が楽は楽だがまあこれもまた一興である。ちなみに敦煌は駅まで120Km、トルファンも駅まで40Kmあるらしくて、電車は不便である。
 今日の歩数 17058歩


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