大理
その二 10/31
続けて今日の話。7:30に起床、8:30にガイドのおばちゃん楊さんと待ち合わせて乗馬登山へ出発。ホステルから十分程度歩いたところで馬に乗る。
乗馬の話。恥ずかしながら子供の頃を除いて馬に乗ったことが無い。馬子が引いていってくれるということだったし、座っていれば頂上に着くんだろうくらいに思ってたんだけど、それはとんでもない間違いだった。まずもって動物に全身を預けるということがこんなにも怖いものとは思わなかった。溝があったりすぐ横が崖だったりしても、落ちないでくれと祈って馬を信じることしか出来ない。言葉も通じない。かつほとんど整備されていない急なでこぼこ道の上り下りで、馬もちょくちょく足を滑らせかける。ひたすら必死でしがみ付いているだけである。特に下りは恐ろしくて、途中馬で登ってくる外国人の二人組とすれ違った時一応「Hi」と挨拶はしてみたものの、こちらの顔は引きつっていたに違いない。馬子のおっちゃんも容赦なくて、乗って2、3分で走り始めるし(何度「走らないでくれと頼もうかと考えたことか。情けないので言わなかったけど)、15分も歩くと「道は馬が知ってるから後は自分でやれ」と手綱を渡されてしまうし(本格的な山登りに入る前の道では馬は何度もコースを外れそうになって、見よう見まねで手綱を操作するしかなかった)、全く大変だった。正直自分の足で上り下りした方がよっぽど気が楽である。まあ面白かったし良い経験になったけど。
山頂ではいくつかの道観を見学して、尾根伝いの道を50分ほど歩いて、大理古城を眺め、三段の滝を見てから下る。途中馬子のおっちゃん(山頂を連れ回ってくれた)が歩きながら松の実を拾って俺に食え食えと勧めてくれた。一応二、三個ほど食べてみたけど、味はともかく、道ばたに落ちてるものをそのまま食べるのは怖い。
馬での下りは正直恐怖そのもので、必死で鞍をつかんで体を支え、馬が転ばないことを祈る。帰りは「辛苦」だからとずっとおっちゃんが馬を引いて下る。マジで大変。疲れた。下りきって馬を下りると足が痛くて、なんだかもうフラフラだった。
登って下りてでちょうど午前中いっぱい、馬に乗っている時間は二時間足らずという感じ。これで50元+山の門票30元。えらく安い。ケーブルカーで往復する(60元)よりも安い。別のところだったら山の入口まで往復で50元くらい取られるところである。
そこからガイドのおばちゃんと一度ユースホステルに戻る。途中で丽江行きのバスチケットを購入。40元。35元で買えると思ったんだけどなあ。明日朝九時発、ホステルに近いので移動が楽。チケットを購入した店の中でおばちゃんと午後の計画を相談。しきりに喜洲の白族民屋(50元)と上関花(68元)を勧められる。ちょっと高いのでどうしようか迷ったけど、街を散歩するのも飽き気味なので大理の風雪花月の「花」である上関花に行ってみる。(下关的風、苍山的雪、上关的花、洱海的月)ホステルに荷物を置いて昼飯に粑粑という烧饼みたいなの3元を食べて(結構おいしかった)大麗路でバスを捕まえて移動、5元。番号の無い地元民用のバスで、ガイドでもいなければこれはわからない。
30分ほどで上関花へ到着。途中哇哈哈の水の工場の近くを通る。おばちゃんの話では去年くらいに杭州から越してきたとのこと。大理は水がきれいだからペットボトルを用意して水をつめるだけだと言ってたけど、まさかそういうわけにはいかないだろう。でも大理は確かに水がきれいで豊富である。
上関花68元。学割無し。ロープウェイで山の上に上り、洱海を眺め、天龙洞を見学下りてきて白族のお茶(三道茶)を味わい、天龙寺と上関花園を見学。あと、この辺は田園風景がとても美しい。天龙洞は20分くらいかかるんだけど、マンツーマンでガイドがついてくれて、お茶も俺一人だけ、そう考えると結構安いかもしれない。中国語の良い勉強になったし。天龙洞は『天龙八部』に関わる説明が多くて分からないことも多かったけど、ただの鍾乳洞としてもなかなか面白い。『天龙八部』を知ってたら(中国人は大概知っているのだろう)もっと面白いんだろうけど。
ちなみにガイドは白族か漢族かと思ったら藏族だった。シャングリラから数ヶ月前に来たばかりとのこと。日本人のボーイフレンドを紹介してくれと頼まれたんだけど(もちろん冗談で)、シャングリラで育った女の子が日本で生活できるとは思えないよなあ。
お茶はなかなかおいしかったんだけど荷物になるのでパス。一苦二甜三回味というやつである。ただし苦瓜緑は昆明で買いたい。電話での注文も承ります、とのこと。
上関花から帰りのバスを探しつつ胡蝶泉というところまで二十分ほど歩き、そこで更に三十分近くぼーっとバスを待つ。何とも中国の田舎らしい。その間にガイドのおばちゃんといろいろ話をする。まだお腹の調子が悪かったんだけど、マッサージをしてくれたり、薬を買おうとしてくれたり、手相を見てくれたり何とも親切である。
バス(5元)に乗って古城へ戻る。
バス代は行きがおばちゃんが出し、帰りは俺が出したんだけど(両方とも一人5元)、古城に着いたら、じゃあ今日はこの辺で、みたいな話になりかけたのであわててガイド代を出す。おばちゃんの往復バス代10元の他にガイド料として20元、全部で30元。馬子からいくらかのコミッションはあるんだろうけど、往復のバス代10元を引いたらいくらも残らないはず。まるで趣味でやっているみたいである。中国やインドでは、けっこう頑張ってくれたので事前の交渉額に少し上乗せしてあげようかな、と思っていると、向こうから先に余分によこせと言ってきて、あげる気が失せてしまうことが多いんだけど、このおばちゃんは違っていた。本当に良い人なんだろう。
昨日「以前にガイドをした成都の女の子から手紙をもらった。彼女いないのなら今度紹介してやる」と写真と手紙を見せてもらったんだけど、その子もたぶん本心から感謝の手紙を書いたのだろうと思う。次回大理に来た時もまたガイドを頼みたい。
楊来弟 13658727935
ただし通じるのは中国語のみ、読み書きできないので注意。
ところでこの名前を見たとき変な名前だなあと思ったんだけど、たぶん長女か、女の子ばかりの姉妹に生まれて、親が「次こそ男の子」ということで「弟が来る」と名付けたんだろうなあ。本人には迷惑な話だが。
もう一つおばちゃんの話だが、昨日洱海で船に乗っている時、三塔の後ろの黄緑の部分は建設中のゴルフ場だ、と教えてくれた。こんなきれいな田園地帯にゴルフ場を作るなんて、と思ったのだが、更に話を聞くと、2008年北京オリンピックのゴルフの試合をここでやるのだと言う。北京と大理じゃいくら何でも離れすぎてるし、そもそもゴルフが公開競技かなにかに取り入れられるんだっけ?反対派を騙すための口実のような気がする。
ホステルに戻ったら石林に一緒に行ったモニカとばったり出くわす。ちょっと立ち話。馬の話をしたら乗ってみたいということだったので、おばちゃんに紹介してあげようと思ったのだけど、「後で俺の部屋に来る」と言ったきり結局来なかった。今のホテルが高いのでこっちに移ろうとしてたらしいんだけど、根本的に引っ越ししなかったんじゃないかと思う。
部屋でしばらく日記作りをした後食事。調子は相変わらずなのでワンタンくらいにしておこうと思ったんだけど、屋台見てたら耐えられなくなって羊烤肉、魚、エビ、青瓜の串焼きに砂鍋米線、全部で12元。ビールだけはかろうじて我慢した。辣子抜きで頼んだのに砂鍋は結構辛い。おいしかったけど。魚もおいしかったのだけど骨が邪魔臭い。エビはおいしかった。大理での食事の最低限のノルマは達成したかな、という感じ。今のところお腹の調子も悪くない。
今日の歩数 25869歩
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