バンコク

その四 12/18


12/20 12:14バンコク国際空港登場待合室にて

 日が改まって二十日。今日の朝ついに日本に戻る。当然のことながら周りは日本人だらけなのだが・・・どうもこの「海外での日本人嫌い」は良くない癖だな。よく見るバカバックパッカーみたいに日本人同士で群れて、海外で狭い日本人コミュニティーを作るのはごめんだが、日本人の顔も見たくない、日本語のにの字も聞きたくない、というのはちょっと極端過ぎる。
 続けて昨日(正確にはおととい)の件。朝六時起きですぐに出発。チャトゥチャック公園近くの北バスターミナルまで行きアユタヤへ。・・・という予定だったのだが、肝心のチャトゥチャック行きバスが全く見つからない。3路と512路にしぼって待つけどいくら待ってもやってこない。地図をよくよく見てみるとどうも3はこのバス停を通らないっぽい。バス停にはちゃんと3と書いてあるのに・・・。仕方なく3の正しいルートの方に行こうと移動を始めたら512路のバスが通り過ぎる。で、3のバス停について待つこと十数分、やっと来たと思ったら俺が合図しても無視して素通り。その後再び待つこと十数分、しびれを切らして次のバス停に行ってみようと移動を始めたら、また3のバスが通り過ぎる。しかも二台連なって。ちょっと信じられないほど間が悪い。で次のバス停まで歩いてみるとバスはUターンして違う方向を向いている。一体どっちの方向に行くのかわけわからなくなってしまって3のバスは断念。またもとのバス停に戻って512路を待つ。バス停の前でサンドイッチ10バーツ×2を朝食用に購入。待ちながらのんびり食べようと封を開けたらすぐに512路のバスが到着。さっきはいくら待っても来なかったくせに。でバスに乗って車掌に北バスターミナルと告げると今度は「このバスは行かない。509(508だったかも)に乗れ」だって。ロンリープラネットには512と書いてあったのに・・・(ちなみに地図には500番台の路線は書いていない)。次のバス停で下ろされて(お金は要求されなかった)、あっちのバス停だ、と言われた方向に向かってみるが、バス停はあっても509(508?)の表示は無し。とりあえずしばらく待ってみるけど509(508?)はおろかバス一本来る気配は無い。ここまででたっぷり二時間以上の時間が経過、もう完全に嫌になってしまってアユタヤ行きはあきらめる。まあタイはまた来る機会もあるだろうし。それにしてもえらい時間の無駄であり間の悪い事の連続だった。まるで俺に「アユタヤに行くな」と言っているようだった。
 そうそう、朝バスを待っているとき、ちょうど通勤の時間帯だったのだが、すごくたくさんの人が黄色いシャツを着て通勤していた。たぶん七、八割の人が黄色いシャツだと思う。この黄色はタイ王室のシンボルカラーらしく、胸には王室の紋章が入っている。プミポン国王はタイで絶大な人気を誇っている、というのは有名な話だが(先日のクーデターが全く何の混乱も無く成功したのは国王の承認があったからだとも聞くし)、その人気ぶりの一端を垣間見ることができた。街を歩いていると至る所に高校と王妃の肖像画が飾ってあるし、小学校の脇を通りかかると国王を描いた子供たちの絵がたくさん飾ってある。
 宿に戻ってしばらくふて寝。十一時に起きてとりあえずゴールデンマウントを目指して出発。民主記念塔まで来たところでトゥクトゥクの客引きにつかまる。とりあえず話を聞いてみると「今日はお釈迦様の誕生日でいくつかの寺院が入場料無料になり、観光プロモーションの一環でトゥクトゥクはガソリン券をもらえるので20バーツで4つのお寺を回ってやる」との事。誕生日は四月八日だろ、と心の中で突っ込みつつも、タイ人ともめた事がまだ無いので、こういううさんくさい話の結果はどうなるのだろう?という好奇心もあり誘いに乗ってみる。
 金色の巨大な立像のあるお寺(たぶんワット・インドラヴィハーン)、地元民用のマイナーな寺、改修中の中くらいの寺と回ってゴールデンマウントで下りる。4つ回って確かに20バーツ。ただし見た感じこれらの寺は元々入場料はいっぽい(そうそうゴールデンマウントでは10バーツ払った)。で「プロモーション」なるものの正体は、観光の合間にお土産物屋に連れて行って、物を買ったらガソリンチケットがトゥクトゥクにキックバックされるというごく単純なものだった。宝石屋二軒と仕立て屋に連れて行かれる。最初の宝石屋では宝石を眺めていたらセキュリティだという人が来て「お前、予算はいくらだ」と聞くので「そんなもん決めてねーよ」と答えたら、「出てけ」と追い出されてしまった。何をいくらで売っているのかわからない店に入るのに、始めから予算決めてるやつなんているか。
 次の仕立て屋ではスーツを勧められたが(400ドル)、当面スーツを使う予定(つまり就職だ)は無いのでパス。続いてコートを勧められる。コートなんて・・・そういえばコートなんて10年以上前に買ったのが一つあるだけなので作っておく事にする。同じく400ドル+送料1,500バーツ(計15,900バーツ)というのをがんばって値切って12,750バーツにする。42,000円ちょっと。送料が高いんだよなあ。滞在中に作ったら結構お得だったかも。まあ値段だけならインドで作ったらもっと安いんだろうけど。あと日本にちゃんとしたものが本当に届くのか、という不安もある。
 ・・・飛行機に搭乗した。窓際三人がけのシートで俺一人だ。ラッキー。
 三件目は宝石とちょっとしたお土産。薔薇の形のロウソクと栞を購入。250バーツ。まあ無理に買う事も無かったんだけど。
 観光の方。一軒目、巨大な立像。見応えあり。二軒目。完全にローカルなお寺で外国人は俺だけ、タイ人も一人だけ。掃除している人に教えられてタイ式に線香を三本立てて三回叩頭してお祈りを捧げる。その後よくわからないんだけど仏前でしばらく待機。待っている間参拝に来ていたタイ人の人と英語でおしゃべりをする。とにかく外国人からほぼ必ず質問されて、必ず説明に困るのが「日本人の宗教は?」ここでも聞かれて、いつものように「日本人は一応仏教徒だが仏教は信じていない。一種の文化になっている」と答えたのだが、信仰心の厚いタイ人には理解できなかったようだ。ちなみにタイ人の信仰といえば、道ですれ違ったお坊さんに手を合わせるのはもちろん、若い人も含めてほとんどの人がお寺の入口の前を通るとき(入るのではなく通り過ぎるだけである)必ず手を合わせて拝んで行く。本当に敬虔な仏教徒の国である。という感じで二軒目は別に見どころは無いが面白い経験が出来た。
 三件目は中くらいのお寺だが全面修理中でほとんど何も見れなかった。ゴールデンマウント。入場料10バーツ。小高い丘の上の金色の塔である。お寺の中は別にどうという特徴があるわけではないが、周囲の見晴らしが良く、バンコクを一望できる。
 ゴールデンマウントに入る前に昼食30バーツ。鳥を揚げたのとご飯。おいしかった。スープ付き。
 ゴールデンマウントから東に歩いて再びサイアムスクエアへ。東急百貨店を見つけたので入ってみる。スーパーを覗くけどやはりフルーツチップスは見つからない。そのかわり東急の外でCD屋を見つけたのでタイミュージックのMP3CDを二枚200バーツで購入。他の国と比べて大分高い。
 CDは注文してから焼き始めるらしく、焼き上がるまで東の方へ散歩。パラゴンを過ぎ、センターワールドとかいうオフィスビルを過ぎ、ワールドトレードセンター?と思ったらどうも建設中っぽい。建て替えか?
 この辺はショッピングセンターが立ち並んでバンコク屈指の商業街のはずなのだが、何となく暗くて歩きづらい。というのも通りの真上にスカイトレインがどーんと通っているせいで、見通しが悪いし、歩いていてすごく圧迫感がある。なぜ地下鉄にしなかったんだろう?完全に都市計画の失敗である。
 CDを受け取って歩いてカオサンまで戻る。途中アイス5バーツ。最初にベースを選ぶのだが、何だかわからずに適当に白いのを選んだらなんと餅米だった。しかしこれがまたアイスとよくあっている。かなり意外だが。雪見大福みたいな感じで売り出したら売れそうである。でも冷凍庫に入れたら餅米が凍ってしまうかな?
 カオサンまでは結局延々と歩き。バンコクの東側はスカイトレインと地下鉄があって交通の便がいいのだが、西から東への移動がすごく不便。バスがあるのだろうが、地図見てもいまいち要領を得ないし、バス停の名前は無いし、バス停に書いてある番号は当てにならないし、とすごく使いづらい。ここら辺も改善して欲しい。
 カオサンに戻ってまずはお土産用のお香セットをいろいろと購入。380バーツ。夕食はポークカレー20バーツ。安いしうまい。タイ料理というと独特の臭みがある印象が強いが、タイで食べる料理はほとんど気にならない。俺の舌が慣れたせいか、日本のタイ料理の臭みが強すぎるのかはわからないが、タイの料理はどれもすごくおいしい。あと屋台でココア10バーツ。あとコンビニ(タイでコンビニといえばもちろんセブンイレブン)でシンハビールとお土産の小物おかし、40バーツ。タイでは5バーツ安いビアチャンばかり飲んでいたのだが、やっぱりシンハも飲んでおかないと。宿に戻りメールをチェック、あと写真を少し整理し、バックアップにCDRを焼いておく。


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