5月

5/4 お熱いのがお好き →Amazon
おすすめおすすめ ビリー・ワイルダー
二度目なんですが、さすがですねえ。
あの見事なイントロといい(今まで見て来た映画の中で最高のイントロの一つです)、
ラストといい、本当にうまい。
いや、本当に、完璧です。
言うことありません。
おすすめです。



5/5 野良犬 →Amazon
おすすめ 黒澤明
黒澤明の現代劇の一つの特徴である、「映画当時の風俗」がものすごくよく反映されている映画。
闇市や埃っぽい街路、レビューの劇場、野球場・・・
そのまま歴史の資料になりそうな映画で、
当時の日本の様子がすごくよくわかり、面白いです。
映画的には、この映画は俳優陣が良いですね。
志村喬と三船敏郎の師弟はもちろん、
犯人の木村功もすごく良い存在感を出しています。
(『天国と地獄』の山崎努を彷彿とさせます)
何より良いのが千秋実。
ちょこっとしか出てこないんですが、見事な存在感です。
たったあれだけしか出てこないのはもったいないです。
ちなみに『セブン』は半分この映画のパクリ。
黒澤明の影響力はすごいんです。



5/7 キル・ビル Vol.2 →Amazon
おすすめおすすめ クエンティン・タランティーノ
1がそれほどでもなかったのであまり期待してなかったんですが、
すごく、面白かったです。
1はマニアックなこだわりはともかく、全体としてチャンバラ過ぎて
いまいちだったんですが、
こちらはいかにもタランティーノ風の仕上がりで満足できます。
レザボア・ドッグス』や『パルプ・フィクション』を思い出させるしょうもないしゃべくりや、
80年代香港調(もっと前?)のエピソードなどバラエティ満載。
やっぱり1、2をあわせてカンフーありチャンバラありアニメありしゃべりありの
完全な映画になるんでしょうね。
さすがタランティーノ、と見直してしまいました。
1がいまいちだった方に特におすすめです。



5/9 パリの恋人 →Amazon
おすすめおすすめ スタンリー・ドーネン
オードリーが歌って踊って、それだけで充分な映画。
別に歌が下手だとは思わないんですけどねえ。
本業が歌手でもっと下手な人はたくさんいます。
あとフレッド・アステアはもちろん良いんですが、
編集長役のケイ・トンプソン(トンプスン?)が良い。
ものすごくうまいです。
この人、詳しいことは知らないのですが、どういう人なんでしょう?
ジョージ・ガーシュインの楽曲ももちろん良いし、
ジバンシーの衣装もきれいだし、
大変満足な映画。
おすすめです。



5/11 女房の殺し方教えます →Amazon
おすすめ リチャード・クワイン
二度目です。
何だか二度目、三度目の映画が多いですね。
この映画は何となくビリー・ワイルダーっぽい雰囲気がするんですが、
これは時代の風潮なんでしょうか。
ジャック・レモン+コメディというせいもあるでしょうね。
この映画の見所はやっぱりジャック・レモンでしょう。
こういうコメディをやらせたらやはり天下一品ですね。
うまいもんです。
ラストの裁判シーンなんかは本当に傑作です。
しかしこの映画のラスト、本当にあれで良いんでしょうか?
何となく納得いかないような・・・
そんなもんなのかなあ。



5/14 ソラリス →Amazon
おすすめ スティーブン・ソダーバーグ
まず、これはタルコフスキーの『惑星ソラリス』のリメイクではないですね。
はっきり言ってまったく違う映画だと考えるべきでしょう。
「わかりやすい」という評判も聞きましたが、
別にこの映画でタルコフスキー版を理解できるわけではないです。
で、個人的にはラストでかなり混乱してしまいました。
初め見た時は『猿の惑星』かよ?って感じだったんですが、
ソダーバーグのコメンタリー版を見て納得しました。
納得してみると、結構面白い映画だと思います。
映像はきれいだし、ジョージ・クルーニーは意外なほど良い演技をしてるし、
ラストなんかはなるほどなあ、という感じ。
タルコフスキーに比べてとても単純ですが、
よくまとまってて良い映画だと思います。
タルコフスキーと比較しないならおすすめな映画。
逆にタルコフスキー版が好きな人にはおすすめできないかも。
それにしてもこれだけ有名な題材に挑戦するというのは、
ソダーバーグ、さすがにすごいです。



5/16 エレファントマン →Amazon
おすすめおすすめ デビッド・リンチ
デビッド・リンチの映画なのに、普通に感動してしまいました。
すごくオーソドックスな人間ドラマですね。
まあ実話なんだから当たり前といえば当たり前かもしれませんが。
ただ映像とかところどころでリンチっぽさが出ているというのはさすが。
この前見た『デューン・砂の惑星』は?だったんですが、
やっぱりデビッド・リンチ、さすがですね。
ところでこの映画、アンソニー・ホプキンス出てますが、
あまり存在感がないですね。
ちょっと意外でした。
実話をもとにしたドラマ、ということで演技を抑えていたんでしょうかね。
感動したということはやっぱり演技は良かったんでしょうけど。
派手な演技よりも逆にすごいのかもしれません。



5/16 散歩する惑星 →Amazon
おすすめ、はしませんが ロイ・アンダーソン
良いです。
ものすごく好きな映画。
意味はわからないけど、面白いです。
まあもともと意味なんてほとんどないんでしょう。
そういう「何だかよくわからないけど不思議に面白い映画」が好きな人には強力におすすめ、
ハリウッド的娯楽映画が好きな人にはあまりおすすめできない映画です。
あれですね、『不思議惑星キン・ザ・ザ』が面白いと思える人には
絶対面白いと思います。
深く考えないで緩くて不思議な世界を楽しんでください。
ちなみにこの映画のコピーは「ローテク大作」とかなんとか。
メイキング見ると確かにローテクで面白いんですが、
別にローテクかハイテクかは映画の本質と関係ないと思うんですけどねえ。
出来上がりの映像が同じなら、どういう作り方しても同じことで、
無理に手間暇とお金を駈けるのは単なる自己満足のような気がします。
別にこの映画を批判するわけではないですよ。
そういう売り方はどうかなあ、と思っただけです。
まあセールスポイントを探すのに苦労したというのはわかりますけど、
そう無理に一般人向けに売り込もうとするのはどうかなあと。
わからない人に見てもらって悪評立てられるよりも、
わかる人だけに見て満足してもらった方が良いのではないでしょうかね。
そんなことをふと思いました。



5/17 髪結いの亭主 →Amazon
おすすめおすすめ パトリス・ルコント
何とはなしにパトリス・ルコントの作品は避けていたのですが、
(『ハーフ・ア・チャンス』くらいかな。面白かったですけど、
いわゆるルコント的映画ではないですよね。
もともと代役監督らしいですし)
今回ようやく見てみました。
・・・面白かったです。
さすがに評判になるだけのことはありますねえ。
いや、本当に素晴らしかったです。
ただ、この映画って、見て喜ぶのはもしかして男だけでしょうか?
官能的な映像とかそういうレベルじゃなくて、
子供時代のシーン、床屋に通ったり、海で遊んだりというあの辺の情景は
いかにも男っぽいなあという感じがしてしまいました。
直接的に通じるような記憶は自分にはないのですが、
何となくわかるんですよね、ああいうの。
それっていかにも男性的なのではないかと思いましたが、どうなんでしょう。
あと、マイケル・ナイマンの音楽、良いですね。
さすがとしか言いようがないです。
素晴らしい。
とにかく全体として良い映画。
おすすめですし、他の作品も見てみたいと思います。



5/18 ユージュアル・サスペクツ →Amazon
まあ ブライアン・シンガー
だましとどんでんがえしの映画、ということばかり頭に入れて見ていたので、
ラストのオチは読めてしまいました・・・
スティング』もそうでしたが、警戒しながら見ると
どうしてもわかってしまいますよね。
どんでん返しと言っても大概パターンがあるわけだし。
(本当っぽいことが嘘、とか、一番普通っぽい人が犯人、とかね)
そういう予備知識無しで見た方が面白かったでしょうね。
ちょっとがっかりでした。
ところでケビン・スペイシー、この映画でアカデミー助演男優賞を取ったわけですが、
これって助演なんでしょうか?
主演は誰?



5/21 天上の剣 →Amazon-
まあ好きな人なら ツイ・ハーク
80年代の傑作(と個人的に思っている)『天空の剣 蜀山奇博』のセルフリメイク。
といっても『風雲 ストームライダーズ』や『決戦 紫禁城』みたいな
最近のアニメ風香港映画に近いですね。
ストーリー的にも全然違います。
単に名前を借りただけっぽいです。
内容的には、以前にスクリーンショットを見て、「おいおい、そりゃまずいだろ」と
思っていたのですが、そこまでひどくはなかったですね。
まあツイ・ハークらしくドラマは無茶苦茶ですが。
(そう考えるとなぜ「そこまでひどくない」と言えるのか、理由はわかりません。
単に香港映画が好きなだけかも)
まあ『天空の剣』の方が面白いとは思いますが。
ちなみにイーキン・チェン、セシリア・チャン、チャン・ツィイーと
妙に豪華キャストなので、その点は見応えあるかも。
懐かしのサモ・ハン・キン・ポーも眉毛仙人役で出てるし。
ただチャン・ツィイーは小汚い山猿みたいな兵士役なので
(役の存在意義自体意味わかりません)
彼女に期待しているとがっかりすると思います。



5/23 突然炎のごとく →Amazon
なかなか フランソワ・トリュフォー
映像は少し古さを感じるけど映画としては面白いです。
ジャンヌ・モローも途中からすごくきれいになります。
でも・・・
男としてはあまり気分が良くないような気がしますねえ。
ジャンヌ・モローがきれいで魅力的なのはわかるけど、
お前らもう少し頑張れよ、って感じです。
まあ振りまわされる気持がわからなくはないんですけど、
見ていてちょっともどかしいですよね。
さんざん振りまわされて、男がちょっと根性見せたと思ったらそう来たか!
という感じで・・・
そういうところがまた魅力的なのかもしれませんが。
まあそういろいろと考えてしまうのはやっぱり面白かったのかな。
どうなんでしょう?



5/23 仕立て屋の恋 →Amazon
おすすめおすすめ パトリス・ルコント
髪結いの亭主』がすごく良かったので続けて見てみたのですが・・・
これも良いですねー。
切ないです。
死ぬほど切ない。
でも不愉快にはならないんですね。
良い映画です。
あと、こちらもマイケル・ナイマンの音楽が良いですね。
甘く、暗く、切ない雰囲気が見事に醸し出されています。
パトリス・ルコント、良いです。
他の作品も見てみます。



5/24 ワイルドアットハート →Amazon
おすすめ デビッド・リンチ
エレファントマン 』に比べてかなりリンチっぽい映画。
ロスト・ハイウェイ』『マルホランド・ドライブ』の飛びっぷりには及びませんが、
これはこれでかなり良かったです。
やっぱりこの映画はニコラス・ケイジにつきますね。
蛇の革ジャン着てエルビスを歌われた日には参りましたと謝るしかありません。
彼は『リービング・ラスベガス』でアカデミー賞を取ってから注目されたのかと思っていたのですが、
その前から結構面白いことをやっていたんですね(これとか『赤ちゃん泥棒』とか)。
ウィレム・デフォー様のにやけ男にも負けてません。
ところで彼の「パチンコ」のCMはこれが元ネタなんでしょうか?
どうでもいいといえばどうでも良いんですが。
とりあえず面白いです。
おすすめ。



5/25 パンチドランクラブ →Amazon
おすすめおすすめ ポール・トーマス・アンダーソン
それほど期待してなかったんですが、面白かったです。
何だか不思議な雰囲気の映画ですが(『マグノリア』とよく似てますね)、
でも妙に良い感じです。
どこがどう良いのかわからないんですけどね、面白いです。
見ていて幸せになれますね。
監督、良いです。好きな監督です。
あとちょっと驚いたのがアダム・サンドラー。
意外とうまいですね。
「コメディアン」というイメージが強かったんですが、
普通に良い役者だったです。
アメリカでは人気があるっていうのもわかるかも
(あれはコメディアンとしての人気なんでしょうけど)。
エミリ・ワトソンはもともと好きだし(この人も良い女優さんです)
そこら辺も面白かったかな。
微妙にマニアックにお勧めな映画です。



5/26 ザ・メキシカン →Amazon
まあ ゴア・バービンスキー
小ネタがうまいです。
銃をめぐるエピソードとかゲイの殺し屋の話とかうまいですよね。
面白かったです。
でも、映画全体としては・・・?
監督はとても好きなんですけど、この映画は何だか窮屈そうに撮っている感じがしました。
撮らされているような雰囲気ですね。
とりあえずブラッド・ピットとジュリア・ロバーツの共演の映画を作ろう、
じゃあ監督はあいつにやらせてみよう、みたいな作りを感じてしまいます。
(実際は『マウス・ハント』を気に入ったブラピが監督を推薦したらしいです)
ブラピとジュリアにこだわらないで(むしろいない方が良かったかも)、
もう少し自由に撮らせてあげたらもっと面白くなったと思うんですけどね。
ちょっと残念でした。



5/31 ジャスティス →Amazon
まあまあ ノーマン・ジュイソン
なかなか重厚な映画で見応えがあります。
アル・パチーノの相変わらず熱い演技もなかなかのものです。
ただ映画としてはちょっと詰め込みすぎなような気も。
あれもこれも盛り込んであって消化不良とまでは言わないけど、
もう少しポイントを絞った方が良いのでは、と思いました。
あれもこれもどれも問題ばかり、という状態は現実社会では普通でしょうけど、
映画として見るには少々煩雑すぎるかなと。
もう少しポイントを絞ればもっとすっきりしたと思います。
(テレビ版なんでカットの具合もあるかもしれません)
まあそれでは腐敗しきった司法制度を描くという監督の意図とは違うんでしょうけどね。
見応えは充分ある映画です。


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