3月

3/1 ドッグヴィル →Amazon
おすすめおすすめ ラース・フォン・トリアー
少しのセットと線だけという特異な(いかにも舞台的な)
スタイルにばかり目が行きがちですが(それだけでも十分に面白いですが)、
そのスタイルだけでなく、映画として非常に良くできた作品。
監督の力をまざまざと見せつけられます。
話としてはいかにもラース・フォン・トリアーといった感じで、
見る人を選ぶような気がしますが、
苦手という人でも十分に面白いんじゃないかと思います。
(自分は好きなので苦手な人の気持ちは分かりにくいけど)
とにかく現在を代表する映画作家の代表作。
見て損はありません。



3/3 荒野の用心棒 →Amazon
うーむ セルジオ・レオーネ
マカロニウェスタンの代表作、というか『用心棒』のリメイク。
よくまあこう中途半端にパクったものだ、と不思議な気分になる映画。
まったく同じところが半分、妙に改変しているところが半分。
そういう意味では見ていて非常に面白かったです。
普通に映画としては、どうなんだろう?
『用心棒』はもう何度も見ているのでそういう評価はできません。
まあ、『用心棒』好きなら色々と楽しめると思います。



3/9 マスターアンドコマンダー →Amazon
・・・ ピーター・ウィアー
何よりも、予告編との落差にびっくり。
落差というか、全然違う映画を見ているような気分になりました。
予告編では「子供ばっかり乗っている船が・・・」という感じだったんですが
(こういう設定何かで見たんだけど、なんだったかは忘れた)、
別にそういう映画では全然無くて、
普通の海戦映画でした。
まあそこそこ楽しめる映画だと思うんですけど、
その違和感が大きくてどうもしっくりきませんでした。
客さえくりゃどんな予告編でも良いってこと無いと思うんですけどね。
ちなみにあのラストはどうかと・・・
二時間半の映画にそのオチは無いんじゃない?って感じでした。



3/12 ゴシカ →Amazon
まあ マチュー・カソビッツ
ホラー映画。
ハリウッドのホラーってなんでこうなんでしょう?という感じの映画。
妙に理屈っぽくて、まともな結末をつけたがるんですよね。
呪怨』みたいな理解不能、理不尽な恐怖がホラーとしては一番怖いと思うんですが・・・
でもハル・ベリーはさすが。
ボンドガールやホラーやいろんなジャンルに挑戦していますが、さすがにうまいもんです。
もう一人のスター、ペネロペ・クルスの役柄は謎でしたが
(うまいとかへたとかいうことではなく)
まあ・・・おすすめはしません。



3/13 イノセンス →Amazon
おすすめおすすめ 押井守
アニメーションもついにここまできたか、というものすごい映像に圧倒されます。
ものすごい作り込み方でとにかくびっくりします。
金に糸目はつけない、という雰囲気で、本当に元をとれるのか疑問を感じるほど。
ハリウッド映画の平均制作費が一億ドルを超えた、というレベルからすると
まだまだなのかもしれませんが。
内容も個人的には面白かったと思うんだけど、
結構評価は分かれるようです。
ただ、とにかく映像だけでも一見の価値はあり。
是非映画館で見てもらいたい映画。
おすすめです。



3/14 アイガーサンクション →Amazon
・・・ クリント・イーストウッド
いかにもクリント・イーストウッドらしい正統派の映画。
と思うんだけど、何となくつかみ所がないんですよね。
山岳映画なのか、サスペンスなのか、よくわからないです。
普通に山登りに集中しても面白かったのでは?という感じ。
そこにサスペンスを絡めて・・・という狙いだったんでしょうけど、
なんだか中途半端な感じがしました。
映画作りとしては(ストーリーではなく)さすがにうまいと思いましたけどね。



3/18 バッドランズ →Amazon
・・・ テレンス・マリック
テレンス・マリックのデビュー作にして、
いかにもこの監督の作品、といった雰囲気の映画。
話的には「何だろう?」という感じなんですが(難解ということではないです)、
さすがに画面がきれい。
この監督は特に空を撮るのがうまいです。
天国の日々』といい『シン・レッド・ライン』といい、
空を撮っているシーンがとにかく印象的。
何度も「きれいだなー」というシーンが出てきます。
そこら辺はかなりおすすめ。



3/19 レジェンドオブメキシコ →Amazon
ちょっと・・・ ロバート・ロドリゲス
ジョニー・デップにウィレム・デフォーと好きな俳優が出ているので、
結構期待していたんだけど・・・
俳優以上に監督の(映画の)個性が強すぎるせいか、
あまり俳優の良さが出てなくて残念でした。
ジョニー・デップはまあまあなんだけどウィレム・デフォーがねえ・・・
面白い俳優なのに、もったいない。
映画的には相変わらずという感じだったので
(ちょっとまじめすぎるという感じはあったかも)
俳優をいかしきれなかったのがホントもったいない。
まあそこも含めてロバート・ロドリゲスなのかな?



3/22 レイン →Amazon
まずまず オキサイド&ダニー・パン
事前に予想していた内容と、本編と全然違ってました。
これは予告編のせいではなくて自分の思い込みみたいだけど、
レオン』(一文字違いなのは関係ない)みたいな映画なのかと・・・
とはいえ、映画としてはなかなか良かったと思います。
むやみに盛り上げることもなく、落ち着いた雰囲気で。
もう一工夫あれば傑作になっていたと思うんだけど、
ひと味足りないかな?
でも「タイ映画?どんなの?」というレベルではなくて、
下手な邦画よりもよっぽど良くできてます。
大概の邦画よりも、といってもいいかな。
the EYE』はなかなか面白かったし、注目したい監督です。



3/23 至福の時 →Amazon
まずまず チャン・イーモウ
相変わらずのチャン・イーモウ調で「もういいよ」って感じなんですが、
ただ、ラストは非常に良かったです。
ラストもラスト、カツ、カツ、カツと音の響くエンドロールです。
あそこは実に良かったです。
やっぱ力のある監督なんだなあと、あらためて感じました。
たったあれだけなんだけどね。
まあべたべたなハートフルドラマ好きにはいいんじゃないでしょうか。
ところで主演のドン・ジエ、
劇中で「歳は?」「18歳」「本当に?」っていうようなシーンがありましたが、
当時18どころか20歳なんですよね。
ぱっと見13,4歳くらいにしか見えないんですけど・・・
栄養失調かなんかじゃないのか、と疑ってしまいます。



3/24 アモーレスペロス →Amazon
なかなか アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
セプテンバー11』で度肝を抜かれたイニャリトゥ監督の長編デビュー作。
いや、さすがにすごいですね。
だいぶ粗っぽいですけどすごく勢いを感じます。
あと、俳優がすごいです。
主演のガエル・ガルシア・ベルナル、まじですごいです。
彼の演技、特に眼を見るだけでも価値があるかも。
本編はちょっと長すぎるかなと思ったけど、
見れば見るほど理解が深まるような映画です。
見て楽しい、という映画とは違うけど、
映画らしい映画が好きな人は是非見ておいて欲しい映画。
今後に期待、の監督です。
ちなみにタイトル、人の名前かなんかかと思ってたんですが、
「愛しの犬たち」って感じなんですね。
(正確にはペーロスって感じかな?)
当然犬が出てきます。



3/24 ゴーストオブマーズ →Amazon
おすすめおすすめ ジョン・カーペンター
すごいです。
常に変わらぬB級スタイル、
この人は尊敬するほかないです。
始めの方は「なんだなんだ?」というSFXで始まって、
どうなるんだか結構不安を感じるんですが、
ある瞬間からジョン・カーペンター節炸裂!という感じで
完全にノックアウトされてしまいます。
やった!YES!!と叫びたくなります。
なぜに火星?なぜに母系社会?という突っ込みなど完全に無意味。
このスタンス、素晴らしいです。
ちなみにDVDにはジョン・カーペンターの解説音声
(あんまり解説してないけど)
付きで二度お得。
おすすめです。



3/29 大人は判ってくれない →Amazon
なかなか フランソワ・トリュフォー
ツァイ・ミンリャンの『ふたつの時、ふたりの時間』に
この映画のワンシーンが使われているので、見てみました。
(あと主演のジャン・ピエール=レオーが「ふたつの時」にでてます)
トリュフォーをまだ一本も見たことがないというのもあるんですが。
個人的にはヌーヴェルバーグって苦手なんですけど、
これは結構よかったたです。
あんまり楽しい話ではないんだけど、そう深刻にならずに、
「昔はそんなこともあったなあ」という軽い感じで、
何となく懐かしく感じられました。
別にそういう経験があるわけではないんですけどね。
他の作品も見てみたくなりました。
TSUTAYAにほとんど置いてないんだけど。



3/30 スパイダー →Amazon
おすすめ デビッド・クローネンバーグ
さすがクローネンバーグ、とうならされてしまう映画。
ぱっと見、過去への旅という雰囲気なんですが、
ラストで一転迷路の中に放り込まれてしまいます。
ストレートなように見えて、でも一筋縄では行かない映画です。
ちょうど『裸のランチ』を思い出しました。
(こちらはストレートとは言えませんが)
ところでこの映画の邦題のおまけ「少年は蜘蛛にキスをする」、
意味わからないです。
蜘蛛出てこないし。
それらしいタイトルつけりゃいいってもんじゃないだろうに。



3/31 小さな中国のお針子 →Amazon
なかなか ダイ・シージエ
下放といういかにも使い古されたようなテーマで
(といっても『シュウシュウの季節』くらいしかみてないけど)、
正直「またか」という感じのネタなんだけど、
ネタに頼り切ることなく(かなり頼っている部分は否定できないけど)
ちゃんとしたドラマとして作ってあります。
特に教育による女性の自立、というテーマにおいては
なかなか良くできていると思います。
個人的にはどうしても「そのネタは・・・」って感じになってしまうのですが、
そういう先入観のない人にはかなりお薦めできる映画です。
ただ正直なところ、いきなりバルザックってのはどうなの?という気もしますね。
よっぽど読みやすいように改変されていないと
そうそうは読めないような気がするんですけどね。
おじいさん向けの『モンテ・クリスト伯』ならちょうど良さそうですが。
(『モンテ栗須と伯』を変換できないバカなことえりは再教育の必要がありそうです)
まあ本に飢えていた、という状況もあるんでしょうが。
ちなみに何度も叫んでた『ユルシュール・ミルエ』残念ながら読んでないです。
かなり悔しいかも。
岩波文庫で出てないんだよねー。


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