12月

12/1 SUPER8 →Amazon
好きずき エミール・クストリッツァ
クストリッツァのバンド「ノースモーキングオーケストラ」のライブツアーを
追ったドキュメンタリー。
「音楽が好きだから」という理由で見ると拍子抜けするかもしれませんが、
クストリッツァファンとして見ると随所にそれらしい雰囲気があふれていて、
なかなか楽しめます。
音楽の方は、うーん、まあまあかな。
アンダーグラウンド』や『黒猫白猫』の音楽をイメージしていたんですが、
必ずしもそうではなくて、ロックだのなんだのいろいろなジャンルの寄せ集めみたいな
音楽でした。
どっちかというと、純ジプシー風(?)の音楽の方が聞きたかったかも。
ただステージの方はなんでもありでなかなか楽しそうなパフォーマンスでした。
ヨーロッパで大人気というのも少し分かるかも。



12/2 バーバー →Amazon
おすすめおすすめ コーエン兄弟
さすがにすごいな、と改めて感心させられた作品。
コーエン兄弟は毎回違った幅広い映画を撮っているのですが、
でも、どれをとっても彼らの色、匂いが染み付いています。
こういう映画をとれる監督ってなかなかいないです。
映画としてみせる技も円熟味を増していますしね。
コーエン兄弟というと独特の映像に注目が行きがちですが、
映画の話術も実に見事。
すごいです。
また今回は主演のビリー・ボブ・ソーントンもお見事。
コーエン兄弟独特のおかしな運命に巻き込まれていく平凡な床屋を
無表情に淡々と、しかし表情豊かに演じています。
今回は監督よりもビリー・ボブの方が上だったかもしれません。
彼の演技だけでも見る価値があります。



12/7 エリン・ブロコビッチ →Amazon
おすすめおすすめ スティーブン・ソダーバーグ
ソダーバーグ監督の映画は出来にずいぶんムラがあるような気がするのですが、
これは最上級の部類の映画。
「ジュリア・ロバーツがオスカー!」ばかり話題になってちょっと敬遠していたのですが、
いや、面白かったです。
参りました。
後から思い出してみると、この映画には格別なクライマックスがあるわけではないようなのですが
(法廷シーンがあるのかと思っていたのですが、無いんですね。
そういう盛り上がるシーン無しで描いた監督の手腕には驚かされます。)
でも全編を通して見入ってしまう面白さがありました。
全くお見事です。
おすすめ。



12/11 二十歳の死 →Amazon
まずまず アルノー・デプレシャン
奇妙に頭に残る映画。
自殺を図った青年が死ぬまでの家族の様子を描いたドラマ。
格別な盛り上がりがあるわけでもなく、淡々と時間が過ぎていくのですが、
そこに妙なリアリティがあって印象に残ります。
人が死んだときって普段会わないような人がたくさんやってきて、
悲しさとは裏腹の祝祭的な雰囲気が出来上がるんですよね。
そういうのって確かにあるなあ、と感心してしまいました。
だからどうっていうわけではないんですが。
何となく面白い、不思議な映画。



12/14 天空の城ラピュタ →Amazon
おすすめおすすめ 宮崎駿
DVD版。
テレビでしか見たことがなかったので(テレビではもうずいぶんと見たけど)
完全版で見るのは初めてでした。
といっても切られていたのは大したシーンではなかったですけどね。
もうカット版で見慣れちゃってるので、あってもなくてもどうでもいい感じです。
しかし、映画はすごいですねえ。
宮崎作品の中では一番好きな映画なんですが、本当に良い。
最近、アニメの実写版がたくさん作られていますが、
これはまず無理でしょうね。
技術的にではなく、「アニメーション」として完全に完成されています。
とにかく素晴らしい映画。
傑作です。



12/16 エスター・カーン →Amazon
おすすめ アルノー・デプレシャン
『二十歳の死』とは打って変わって、ずいぶんとドラマチックな映画です。
「ドラマチック」と言っても『二十歳の死』に比べて、であって、
そこらのハリウッド映画とは比較になりませんが。
一人の自閉症気味の女の子が舞台女優として成長していく過程を描いているのですが、
単なる感動ものではなく、弱さや汚さもしっかりと描いてあり、
見ていてやや気圧されるくらい、力強い映画です。
安っぽいメロドラマに終わっていないところが見事ですね。
舞台のシーンもなかなか迫力がありますし
(結構感情移入してどきどきさせられるんですよね)
面白い映画だと思います。
ハリウッド映画に疲れたときにでも見てみてください。



12/18 魂を救え →Amazon
・・・ アルノー・デプレシャン
デプレシャン特集では一番期待していた映画なんですが、
少々期待はずれだったかも。
フランス映画らしく?妙に難解です。
少々説明不足で、なんだか良くわかりませんでした。
ミイラ化した男の頭、と話の種としてはすごく面白いと思うのですが、
エンターテイメントに徹しきれていません。
せっかく面白いアイデアなんだからもっとサスペンスで盛り上げれば良いのに、
なんだか斜に構えてしまうのがフランス映画の悪いところですよね。
ちょっと残念。



12/20 ハタリ! →Amazon
おすすめおすすめ ハワード・ホークス
映像見て唖然としました。
昔のハリウッド映画はすごかったんですねえ。
今じゃこんな映像は絶対に撮れません。
サファリのハンティングのシーンはとにかく圧巻。
ものすごい迫力です。
これはぜひ映画館で見たい映画です。
話的にも良くできているのですが、とにかく映像がすごいです。
びっくりします。
アフリカに行ってみたくなりました。



12/22 用心棒 →Amazon
おすすめおすすめ 黒澤明
さすがに面白いです。
何度見ても良くできてますね。
感心します。
ところでラストの「おっかさんのところに帰んな」、
キル・ビル』で使われてましたね。
気がつかなかった。



12/24 情婦 →Amazon
おすすめおすすめ ビリー・ワイルダー
こちらはたぶん二度目だけど、すごいです。
この映画はラストのどんでん返しがポイントなんですが、
それを分かっていてみても十分に面白いです。
映画として良くできているということですよね。
さすがにビリー・ワイルダー監督です。
すごいです。



12/28 ギャラクシークエスト →Amazon
おすすめおすすめ ディーン・パリソット
いやー、良くできてます。
見事ですね。
ほとんど無駄のない脚本はまるでビリー・ワイルダー作品のようだ、
と言っても過言ではないかもしれません。
まあ、これだけの作品を続けて作ることが出来るかどうか、
が問題なんでしょうけどね。
とにかく面白い映画です。
唯一の欠点はパッケージとか、ぱっと見面白く無さそうなところかな。
もっとたくさんの人に見てほしいんですけどね。
おすすめします。



12/29 セブンイヤーズインチベット →Amazon
なるほど ジャン・ジャック・アノー
映画の出来云々よりもまずチベット問題について考えさせられました。
そうなんですよね、イラクやアフガニスタンについて騒いでいる陰で
中国による占領は今も続いているわけです。
のど元過ぎればなんとやら、問題が忘れかけられているなかで
こういう作品が作られるというのはとても意義深いことだと思います。
ダライ・ラマについてディズニーが映画を作る、という話も
中国の圧力で潰されたようですしね。
映画的には、まあ、まあかな。
つまらないわけじゃないですが、取り立ててどうこう言うところも無いかも。
ブラッド・ピットはなかなか良くがんばってました。



12/30 千と千尋の神隠し →Amazon
さすがに 宮崎駿
大騒ぎになったDVD版で見ました。
確かに赤いですね。
冒頭のシーンが夕暮れのようだ、なんて話がありましたが、
そういわれてみるとそんな感じです。
ただ豚になって夜になった後あたりから気にならなくなりましたね。
以降屋内のシーンが増えるせいか、慣れるせいか。
ジブリとしては命拾いしたというところでしょう。
映画としては、ラピュタの方が好きです。
ただ、アニメーションの技術はさすがですね。
時代がCGアニメへ向かっている中で、
セルアニメの表現技術の一つの頂点だと言って良いんじゃないでしょうか。
アカデミー賞も当然の結果です。
次回作が楽しみです。



12/30 椿三十郎 →Amazon
さすがに 黒澤明
とにかく面白いです。
後年のドラマも好きですが、やっぱり黒澤は活劇ですね。
といっても単なる勢いだけの映画ではなくて、
最初から最後まで一分の隙もなく完成された見事な脚本。
素晴らしいです。
おすすめ。



12/31 昼下りの情事 →Amazon
おすすめおすすめ ビリー・ワイルダー
ワイルダー独特の見事なオープニング。
ベタなはずなのについ感動してしまうラスト。
完璧です。
非の打ち所がないです。
ところで最初にオードリーが出てくるシーンの服、
何度見ても「変な服」と思ってしまうのですが、
あれもゲイリー・クーパーの前に現れるシーンの服装との対比を
狙っているんでしょうかね。
あれはどうも気になります。


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