11月

11/3 ディナーラッシュ →Amazon
おすすめおすすめ ボブ・ジラルディ
エットーレ・スコラの『星降る夜のリストランテ』を
そのままニューヨークに移してきたような作品。
ニューヨークのイタリア料理店の一夜を描く群像劇。
ビジネスマンがいて、芸術家がいて、そのパトロンがいて、
ギャングがいて、刑事がいて、
白人がいて、黒人がいて、イタリア系がいて、アジア系がいて。
生き馬の目を抜くニューヨーク・トライベッカを舞台にした
すごく活気のある映画となっていて、面白いです。
イタリアの田舎町を舞台にしたアットホームな雰囲気の『リストランテ』と
全く対照的で面白いです。
『リストランテ』のほうが、監督の力や優しさが出ていて
個人的には好きなんだけど、
これもそれに負けないだけの活気があります。
戦争のような厨房の中を延々とドキュメンタリーでとっても
十分に面白いと思います。
こういう映画を見ると、ニューヨークって面白そうだなあ、って思うんですよね。
そんな魅力のある作品です。
おすすめです。



11/3 アマデウス →Amazon
おすすめおすすめおすすめ ミロシュ・フォアマン
昔ビデオで見たんですが、映画館で見直してみました。
やっぱり映画館てすごいです。
(タイムズスクエアは特に音響良かったけど)
映画どころではなくその音楽のみで完全に圧倒されてしまいました。
これはビデオで見てもとてもその価値の分かる映画ではないです。
本当にすごいです。
本当に圧倒されます。
こうして映画館でもう一度見ることができて幸せです。
東京に住んでいるなら絶対に見るべきです。
絶対お勧め。



11/3 ぼくらと遊ぼう →Amazon
おすすめおすすめ ブジェチスラフ・ポヤル
久々に見ましたけどやっぱりいいです。
『冬眠の話』の話以外は前に見てたんだけど、
やっぱり面白いです(っていうか忘れてた)。
『冬眠の話』はなんか最終回みたいな変な
しかも妙にブルーなラストですが、
それもまた面白いです。
やっぱりおすすめ。



11/4 スポーン →Amazon
??? マーク・デッペ
見ていて『フラッシュ・ゴードン』を思い出してしまいました。
ただ『フラッシュ・ゴードン』はQUEENの音楽だけで見る意味があると思うけど、
こっちはもはや救いようがないです。
主役のスポーンさんのばかさを笑うか(一般的にはあきますが)、
しょうもないCGを笑うか(CGの技術がどうこうではなくて使い方が下手過ぎ
・・・これも普通はあきれます)、
ジョン・レグザイモに感心するかってところでしょうか?
スパイダーマン』とか『X-MEN』とかアメコミものが
2の計画がみんなあるのに、
これは2の声を聞かないのも納得です。
お昼とか深夜にうんざりしながら最後まで見てしまって
後悔するようなタイプの映画。



11/6 Dolls →Amazon
おすすめ 北野武
賛否両論あるという話ですが、個人的には非常に良かったです。
映像の一つ一つがすごく美しくて、それだけで涙が出てくるし、
ラストもなんか普通なようで、それでも感動しました
黒澤明の『』を意識しているような映像(特に色)のようにも思います。
途中で2か所、文楽人形が動くシーンがあるんですが、
そこがなんともすばらしい動きでまた感動的です。
文楽にもちょっと興味が出てきました。
あと菅野美穂が良かったですねー。
きれいなだけじゃなくて、なかなかうまかったです。
まあ各所に出てくる北野調といいなんか妙なラストといい
万人にお薦めできる映画じゃないですけど、
興味がある人にはお勧め。



11/8 エコエコアザラク →Amazon
結構面白いかも 佐藤嗣麻子
菅野美穂つながりで何となく見てみました。
このわけの分からないストーリー展開は
ダリオ・アルジェントを彷佛とさせます。
別に全然怖くない、それどころか面白おかしいんですけどね。
力の強い魔女、のはずの主人公がなすすべなく逃げまどうだけで、
結局敵が自滅しただけ、というオチは狙っているとしか思えません。
単なるアイドル映画と侮ってはいけません。
かなりステキなB級映画です。
あと、菅野美穂かわいかったです。



11/10 国産凌凌漆 From Beijing With Love 
・・・ 周星馳・李力持
チャウ・シンチーの最高傑作というふれこみでDVD借りたんですが、
北京語の字幕しか入ってなかったので
仕方なく北京語・英語併記のVCDで見ました。
それでもストーリー良く分かんなかったです。
まあ別にストーリー分かんなくても笑えるんですけどね。
ただ最高傑作というほどではなかったかも。
そこそこ面白かったのは確かですが。
007のパロディーだけでなく(オープニングとラストは笑いました)
ロボコップとか『欲望の翼』とかダイハードみたいのとか
何やらいろいろとやっていて楽しめる反面、考えもしてしまいます。
まあチャウ・シンチーファンなら見ておきましょう。
あとアニタ・ユンかわいかったです。
チャウ・シンチーものは本当に女優きれいです。



11/13 落穂拾い →Amazon
・・・ アニエス・ヴェルダ
フランスにおける「拾う」人々の姿を映し出す。
なんかフランスの紀行番組と夕方のニュースの特集ものと
監督の個人的趣味を合わせたような不思議な映画。
なんだか良く分からなかったけど飽きなかったのは
フランスの風景が美しかったからでしょうか?
そんなに興味を持って見てみたわけではないのですが、
結構良かったと思います。
わりとおすすめ。



11/16 無敵幸運星 
・・・ アントニー・チャン
チャウ・シンチーものです。
これも英語字幕だったのですが、非常に分かりやすかったです。
相変わらずべたなギャグばっかりですしね。
これはすごく面白かったです。
べたなギャグばかりですけどかなり笑わせてもらいました。
チャウ・シンチーものの中では特に笑った方に入ります。
ただ惜しむらくは女優のサンドラ・ン。
チャウ・シンチーもののわりにはそんなに美人ではない・・・
のが残念です。
実は肝心のクライマックス部分が傷だらけで全然見れなかったのですが、
それでも十分に楽しめました。
ちなみに『無敵幸運星』といっても
無敵なほど幸運な男の話ではないです。



11/16 姿三四郎 →Amazon
おすすめ 黒澤明
長い間ほったらかしになっていたDVDボックスをようやく開けてみてみました。
黒澤明の記念すべきデビュー作です。
すべてはここから始まりました。
ストーリー的には「ふーん」という感じで
そんなでもないのですが、
所々の映像はやはり感心させられてしまいます。
有名な池のシーンや最後の右京が原の激しく流れる雲のシーンなどは
さすがに見入ってしまいました。
あちこちぶつぶつと切られていてストーリーが分かりにくいのは残念ですけど、
とにかく見ておかなければまずい一作です。



11/17 続姿三四郎 →Amazon
おすすめ 黒澤明
その名の通り姿三四郎の続編です。
黒澤明が「二番煎じみたいで気乗りがしなかった」といえば
評論家も「黒澤作品の一番下」とひどい評価ですが、
個人的にはそんなに悪くなかったように思いました。
たしかにすべての登場人物が漫画的でわりと普通なんだけど、
源三郎の狂い笹と能の動きやラストの雪山の決闘など
絵的には非常に面白いシーンがいくつかあったように思います。
これ逆に考えると『姿三四郎』を自分が評論家連ほど
高く評価していない裏返しなのかなあとも思いますが。
だからといって避けて通るわけには行かない作品です。



11/18 生きものの記録 →Amazon
おすすめおすすめおすすめ 黒澤明
恥ずかしながら初めて見ました。
非常にショックを受けました。
一言で「面白い」と簡単に言うことができない
非常に重い映画です。
「三船敏郎が気違い老人に扮している映画」という程度の認識で見ると
とんでもない目にあいます。
映画的に「正気と狂気の転換」はものすごく鮮やかで見事なんですが、
そんな悠長な感想を持っていられないです。
世界情勢が緊迫している今だと特にそうですね。
手塚治虫がこの作品を非常に高く評価していた
(黒澤作品の中では『生きる』についで二番目に好きだと言っていたらしいです)
のもうなずけます。
(ちなみに藤子・F・不二雄の短編の中に『大予言』という超名作があるのですが、
この作品をモチーフにしているんですね。
初めて知りました。)
またそんな核の恐怖だけではなく、
薄汚い小さな人間たちの生態(まさに『生きものの記録』です)や
それでもなお家族を守ろうとする男の生き様など、
様々なことを描いていて、本当にすごいです。
三船敏郎の老け役も(志村喬よりもはるかに年上の役というのにはびっくりします)
その演技も、非常に印象的なラストのスロープのシーンも、
早坂文雄の音楽も(黒澤作品の中であえてそれを強調する必要はないような気もしますが)
とにかくおすすめです。
黒澤明の代表作の一つと数えて間違いありません。
とにかく見て下さい。



11/20 エトワール →Amazon
おすすめおすすめ ニルス・ダヴェルニエ
フランスオペラ座のバレエ団のバレエダンサーたちのドキュメンタリー。
その華やかな外見とまるでかけ離れた凄まじい内側をのぞくことができます。
その、踊りたい、という執念は、安易に流れがちな今の日本に
もっとも欠けているもののように思いました。
もちろん自分も含めて、です。
「ここには弱者の居場所は無い」という厳しい階級制度を持つバレエ学校、
来るかどうか分からない代役のためにびっしりとノートを取って勉強する人や、
主役のリハーサルにあわせて練習を繰り返す人々、
足の傷が化膿しながらも抗生物質を飲み踊り続けるダンサー。
その根性にはただ圧倒されるばかりです。
自分にはとてもできないと思いつつも、また
何事にも気迫と根性を持って取り組まなければいけないということを、
反省させられました。
甘くないです。
おすすめです。



11/20 プロミス →Amazon
おすすめおすすめ ジャスティーン・シャピロ&B.Z.ゴールドバーグ
『エトワール』のついでのような感じで見たのですが、
正直エトワールよりも感動しました。
パレスチナとイスラエルと互いの溝の深さを思い知らされる前半部分は、
また、パレスチナ問題に対し何もできない、いや何もしようとしない、
自分の無力感も思い知らされます。
その分後半かいま見ることができる一筋の光明には本当に感動させられます。
月並みな言い方になってしまいますが、
人間はみな同じ、分かりあうことができるんだなあ、と感じます。
最後にその光明がまた消えかけてしまうのですが、
それが簡単に消えてしまうとは思いたくないですね。
彼等の世代になったとき(まあそれ以前に解決できればそれにこしたことはないですが)
この問題が良い方向に向かうことを祈るのみです。
それまでとりあえず自分にできることは、
この映画を多くの人に薦めて見てもらうこと、くらいなんでしょうか。



11/22 ザ・リング →Amazon
まあ ゴア・バービンスキー
特に日本版が好きなわけではないんですが、
日米比較に興味があったんで見てみました。
結構そういう点では面白かったと思います。
くだくだしくなるので一々の比較はしませんが、
主人公二人の性格設定や貞子(サマラ)の設定には
明確な違いがあって(意識的なものかな?)、
すごく面白いです。
まあ違い自体はごく一般的な日米の違いであり、特段の特徴はないんですけどね。
あと、ポイントポイントで日本版よりも激しく不安をあおるような
演出が多くて、不覚にもちょっと怖かったです(結果が分かっているのに)。
やっぱりこの手の映画をエンターテイメントにするのはハリウッドはうまいですねえ。
ちょっと感心しました。
まあ、それ以上の映画ではないですが。
あとナオミ・ワッツ、初めて見たんですけど評判通り良かったです。



11/27 トゥーランドット →Amazon
まあ アラン・ミラー
チャン・イーモウ演出によるオペラ『トゥーランドット』北京公演の
裏側を描くドキュメンタリー。
結構期待していたのですが、うーん・・・という出来でした。
なんていうか、視点が中途半端なんですよね。
チャン・イーモウの演出、紫禁城での公演、東西の文化交流、
プロフェッショナルたちの戦い、オペラそのもの、
いったい何を主題として見せたいのか、が定まってなくて、
あれもこれも詰め込んであるんで、
どれも中途半端なんです。
どれをとっても非常に画期的で、見応えのあるものになると思うのですが・・・
とりあえず、オペラそのものを見たかったです。
ビデオ等があれば良いんですが、なければとりあえずCDを聞いてみることにします。




11/27 セルロイド・クローゼット →Amazon
おすすめおすすめ ロブ・エゴスタイン&ジェフリー・フリードマン
これも『トゥーランドット』のおまけのつもりで見たんですが、
こっちの方がはるかに面白かったです。
後半部分で男同士のキスシーンが結構たくさん出てきて
うぇーっていう感じもするんですが
そういうシーンにも長い歴史のバックグラウンドがあるということが分かると、
結構感動してしまいます。
やっぱり映画って社会を映す鏡っていう面があるんですね。
あんまり有名な映画ではないですが、本当に面白いです。
おすすめ。


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