8月

8/4 es →Amazon
おすすめおすすめおすすめ オリバー・ヒルツェヴィゲル
状況の力は人間の人格にいかなる影響を与えるか。
そんなテーマの心理実験をもとにした映画で、
人間の心の深い部分の恐怖を描いた映画かと思っていたのだけど、
そういう学際的な部分はほとんどなく、かなり意外。
心理実験の意味にはあまりこだわらず、
ハラハラドキドキのエンターテイメント路線に突っ走っているんだけど、
そこら辺のいさぎよさが逆に好感持てます。
(いかにも「ニュージャーマンシネマ」らしくて良いです)
映画の面白さとしては文句のつけようがないです。
前半は少しとろい感じもしますが、後半の盛り上がり、
特にラストの恐さは(ドキドキする恐さです)なかなかのもの。
十分におすすめです。
久々に「面白い」ドイツ映画を見ました。



8/6 ブレイド →Amazon
いやー スティーヴ・ノリントン
アメリカ人が(特にティーンエイジャー)映画館で大騒ぎしながら
見ていそうな映画。
(実際にアメリカで映画見たことないけど)
ばかばかしいというか、しょうもないというか。
まあ見ていればそれなりに面白いんですけどね。
ウェズリー・スナイプスを見ているだけでも結構笑えます。
この映画にミュージカルの要素を加えたら、
ミュージカルアクションコメディーでもっと面白くなりそう。
(インド映画みたい・・・)
暇で暇で死にそうなときにどうぞ。



8/6 男はつらいよ 寅次郎頑張れ →Amazon
・・・ 山田洋次
シリーズ第20作。
他の作品に比べて笑うポイントが少ないような感じ。
面白いんですけどね。
あと寅屋が爆発しちゃうっていうのもなんかシリーズにそぐわない変な感じですよね。
ドリフみたい。
それにしても寅さん、じゃない渥美清って本当にすごいです。
そういえば大竹しのぶかわいかったですねえ。
びっくりしました。



8/7 スターウォーズ エピソード2 →Amazon
スターウォーズファンなら ジョージ・ルーカス
全編突っ込みどころ満載のなかなかすごい映画。
『スターウォーズ』の名前が付いてなかったら、
観客怒っちゃうんじゃないかと心配になってしまいます。
バカバカし過ぎて苦笑するシーンが多いです。
ただラストの盛り上がり方はさすが。
予告編だけ見ると「もうアニメじゃん」というラストの戦闘シーンも
実際に見ているとそんなに違和感ないし、
ライトセーバーのシーンでは前回の薙刀&京劇風に引き続き、
暗闇(ってほどでもないけど)&二刀流と工夫を見せてくれるし、
マスターヨーダは戦うし、ここら辺の畳み掛け方は見事です。
最後トルーパーが整列しているシーンで帝国のテーマ?が
鳴り響くシーンは「おお、スターウォーズだ!」と
まじめに感動してしまいました。
(エピソード1、2に足りないのはやっぱりこれですよね)
当然のことながらスターウォーズを見ている人は要チェックです。
逆に興味ない人にはつらいかも。
まあとりあえず興味があるなら映画館で見る事をおすすめします。
映画館の大画面でないとこの映画は楽しめないです。



8/15 TUVALU →Amazon
おすすめおすすめ ファイト・ハイマー
どこかの国のいつかの時代のプールを舞台にしたファンタジー。
クルクルと変わるセピア調の画面と言葉少なな
(あっても何語でもないので意味分からないし)
雰囲気がとても良い感じです。
別段ストーリー的にはなんと言うこともないんだけど、
見ていてほっとします。
あと『ルナパパ』のチュルパン・ハマートヴァがすごく良かったですね。
『ルナパパ』の古い現実的な因習のなかのファンタジーに対して、
こっちは根っからのファンタジーですが、
そういう雰囲気がよくにあいます。
見て損はないです。
おすすめ。



8/15 王さんの憂鬱な秋 
おすすめおすすめ ホアン・チエンシン
徳光和夫似の文化館副館長王さんが館長の座を狙って
権謀術数をめぐらす。
いかにも政治好きで計算高い中国人の
様子がよく出ていてすごく面白いです。
あと後半悟りを開いて書道をはじめるところなんかは、
仙人みたいでこれまた中国的。
人治国家「中国」の一端をかいまみることが出来て、
非常に興味深い映画です。
文化館よりもはるかに複雑な中国の官僚機構の中で暗闘を繰り返し、
地位を保っている人たちにしてみれば、
東大出のエリート外交官達を相手にするのなんて
赤子の手をひねるよりもはるかに簡単なことなんでしょうね。
特にこういう政治闘争の中で4度も失脚してなお最高権力者に返り咲くことの出来た
トウ小平の政治力は想像を絶するものがあります。
面白いです。
おすすめ。



8/16 リトル・チュン →Amazon
おすすめおすすめ フルーツ・チャン
フルーツ・チャンの香港返還三部作のラストを飾る作品。
前二本と大分雰囲気が違って結構面喰らったけど、
すごく良い映画です。
三作の中では一番香港の庶民的な暮らしの雰囲気が出ていて良い感じです。
不法移民がいて、フィリピン人メイドがいて、ごみごみしていて
食べ物屋が一杯あって、九龍の上を飛行機が飛んで・・・
返還前もやっぱりここは「中国」なんだなあ、ってつくづく感じます。
香港も行ってみたいですねえ。
花火降る夏』は正直いまいちで「?」っていう感じだったんだけど、
やっぱりこの監督はただ者ではないと見直してしまいました。
ドリアンドリアン』も早いところみたいです。
あと『メイドインホンコン』『花火降る夏』ももう一度見直したいですね。
この映画のラストで『メイドインホンコン』につながって
三部作がループをくむような感じになっていて、
すごく『三部作』であることを意識しているような感じもしたので
(まあただのおまけかもしれないけど)、
一度まとめてみてみたいです。
(ただこの映画ツタヤにおいてないんだけど。
ツタヤってどこも品揃えいいかげん過ぎ)



8/16 ラヴソング →Amazon
おすすめおすすめ ピーター・チャン
もう5、6回見ましたが、やっぱり良いです。
別に新しいところもなく結構べたな展開なんだけど、
すごく丁寧に作ってあってとても好感が持てます。
ウィリアム・ホールデンの挿話とか
クリストファー・ドイルの話とか、
すごく優しさ(物悲しいけど)を感じることが出来て、ほっとします。
とても好きな映画。
一度は見てもらいたいですね。



8/17 トータルフィアーズ →Amazon
まあ フィル・アルデン・ロビンソン
13デイズ』によくにた雰囲気の映画。
別にジャック・ライアンでなくても良いのでは?とも思いますが。
ベン・アフレックだから出ても出なくても同じようなものという気もするし。
映画的には、まあハリウッド映画。
そこそこ楽しめます。
当然いろいろ気になるところも多いです。
ネタ的にかなり古い(プーチン登場とかチェチェンとか米露の緊張とか)のは
まあ仕方がないにしても、
原爆をあまりにも軽く扱い過ぎです。
爆風で吹き飛ばされるほどの被害を受けた主人公や奥さんが(まだ結婚していないけど)
ラストで健康そのもので登場してくるのは原爆をなめているとしか思えません。
とりあえずトム・クランシーは広島と長崎の原爆資料館へ行って
『はだしのゲン』を読むべきでしょう。
それとも『トータルフィアーズ2』で原爆症に苦しむ主人公夫婦(大統領も)が出てくるのかな?
それなら楽しみだけど。




8/24 千王之王 →Amazon
見たくても見れないけど バリー・ウォン
英語字幕で見たので半分くらいしか分からなかったんだけど、
こてこてのギャグやパロディーのオンパレードなので
なかなか笑えました。
こういう映画を見ると『少林サッカー』って
いかにもまじめな映画ですごく異質な雰囲気がします。
まあどっちも面白いんだけど。



8/26 決戦・紫禁城 →Amazon
暇なら アンドリュー・ラウ
剣で岩を砕き空を飛ぶ剣士たち。
古き良き武侠映画の雰囲気が実に良い感じです。
いかにも香港の娯楽映画という雰囲気が好きです。
映画的には別にどうということはないんだけど、
まあ気軽に見ることが出来るので、暇つぶしには良いと思います。
眼の大きなヴィッキー・チャオがなかなかかわいいのですが、
それ以上にイーキン・チェンがクールな雰囲気がバッチリ決まっていて格好良いです。
アンディ・ラウもなかなか存在感があるし、
良い男がみたいならおすすめかも。



8/27 太陽の少年 →Amazon
まあ チアン・ウェン
鬼が来た!』のチアン・ウェンの初監督作。
文革期の北京を舞台にしているんですが、
そういう政治・歴史臭がしないところが良いです。
すごく感覚的な映画・ストーリーで面白いんだけど、
ちょっと行き過ぎて分かりづらいところも。
『鬼が来た!』と見比べるとやっぱり若い感じがします。
それはそれでまた映画の雰囲気ともあっていて面白いんだけどね。
ちなみにこの映画の原題は『陽光燦爛的日子』、
「陽光が燦々ときらめいていた日々」。
英題は「IN THE HEAT OF THE SUN」、
「太陽の熱の中で」。
陽光がギラギラと降り注ぐ人気の無い北京でみた
現実とも幻ともつかない思い出の日々。
という雰囲気が想像できるんですが、
それがなんで『太陽の少年』になるんでしょうか?
(ちなみに『夜の大捜査線』でほとんど同じことを書いています)
中国の映画の邦題は本当にろくなものがありません。
誰がこういう邦題つけるんでしょうね?



8/28 シュウシュウの季節 →Amazon
心臓の強い人向け ジョアン・チェン
予想していたのと全然違って、非常に見るのがつらい映画でした。
非常に救いの無い映画です。
奇跡の海』の方がはるかに救われます(あるいは『ダンサーインザダーク』でも良いけど)。
この映画、実話ならまだしも(それはそれでやるせないけど)
フィクションなら(たぶんそう)一体何をテーマにせんとしているのか、
よく分からないです(だって救いがなさ過ぎる)。
登場する男性が全部アレで、残り一人がアレで、
女性監督のデビュー作ってなんか、考えてしまいます。
ちなみにこの映画の原題は『天浴』。
『シュウシュウの季節』も雰囲気が分からないではないですが、
『天浴』のほうがはるかに良いと思います。
それにしても中国は文革をはじめいろいろと映画の題材があって
うらやましい限りです(実際にその時代を生きた人は大変だったろうけど)。
ただ逆にそういうおいしいネタを使わないで、
「今」の中国を撮っている第六世代の監督たちって、
なかなかすごいんだなあと感心してしまいました。



8/29 スライディング・ドア →Amazon
まあ ピーター・ホーウィット
地下鉄に乗れたとき、乗れなかったとき、
その二つの人生をえがくわけだけど、
なんか長いです。
一日とか二日とかもうちょっと短い時間にしぼった方が良かったんじゃないかなあ。
(『ラン・ローラ・ラン』みたいにね)
あと乗れたとき乗れなかったときどっちにしろろくでもない結果になるっていうのは
どうかと思います。(いくらなんでも死んじゃうのはちょっと・・・)
もうちょっと軽い感じで見れる映画なら良かったのかなあという感じです。


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