7月

7/2 未来は今 →Amazon
おすすめおすすめおすすめ ジョエル・コーエン
コーエン兄弟の作品としては今のところ一番面白かった作品。
(どれが好きか、といわれると『バートン・フィンク』だけど)
特に前半はずっと笑いっぱなしですごく面白いです。
後半はちょっとシリアスなストーリーに走ったせいか退屈な時間があったけど、
十分に楽しめる作品。
コーエン兄弟の作品て、どれもいかにもコーエン兄弟らしい雰囲気があるんだけど、
どれも同じではなくて、かなりバラエティに富んだ映画になっているところがすごいです。
ところでこの映画、6/29にビデオで借りたんだけど、
実はその日ちょうど元ネタの発案者が死んだというニュースが流れていました。
ぜんぜんそういう関係を知らずに見てみてびっくりしてしまいました。
すごい偶然。



7/3 ザ・ワン →Amazon
テレビでやっていれば ジェームズ・ウォン
ぜんぜん期待していなかったんだけど、ジェット・リー主演ということで
一応見てみました。
予想通りです。
ジェット・リーのアクションを活かすためにあんなしかけを考えたのかもしれないけど、
ぜんぜん無駄。
ジェット・リーがもったいないです。
こんな仕掛けで行きたいならアーノルド・シュワルツネガーみたいな三流の
アクション俳優を使えば良いのに・・・
ジェット・リーもジェット・リーでもっと映画を選ばないとまずいと思います。
キスオブザドラゴン』とか『ロミオマストダイ』とかしょうもない映画ばっかりで
(『ロミオマストダイ』はちょっと好きかも)
ハリウッド進出後の一番ましな映画(映画として)が
リーサル・ウェポン4』じゃどう考えてもまずいです。
香港の方がジェット・リーを活かせる人がたくさんいると思うんだけどねー。
ハリウッドでは「キワモノ中国人カンフー俳優」で終わらされそうですごく心配。
ちなみにこの映画のラストはちょっと面白かったです。
ああいうのりで映画を作ったらそれはそれで面白かったと思うけど。



7/8 乙女の祈り →Amazon
まあなかなか ピーター・ジャクソン
前半のばかばかしい展開にはかなり笑わされました。
後半になってくると前半のような笑いは少なくなってくるんですが、
(飽きてくるのかな?)
だんだん変に気味の悪い展開になってきてそれはそれで面白いです。
特にラストは気持ち悪すぎ。
「世界で最も悪趣味」と言われるだけの事はあります。
あれを見たら『ロードオブザリング』もう見れないかも。
見比べたら逆に面白いかな?
ブレインデッド』も見たいんですが、ビデオがどこにあるのか分かりません。



7/9 テルミン →Amazon
おすすめ スティーヴン・M・マーティン
ドキュメンタリー映画、なんだけど(たぶん)、すごくファンタジックな映画です。
テルミンという楽器そのものの音色もすごく不思議だけど、
テルミン博士のたどった運命もすごく不思議、
そして、それだけ波乱に満ちた生涯を送ったのに、
ラストでひょうひょうとした「良いおじいさん」の雰囲気をかもし出している
テルミン博士が、それらにもまして一番「不思議」です。
途中でテルミンが使われている例として
1950年代の映画(ほとんどがホラー)が挿入されます。
どれも今から見るとなんとも不思議な、
ちょうどエド・ウッドの作品みたいな間の抜けたところがあるんだけど(良い意味でね)、
それらによく似たファンタジー映画です。
疲れたときに見たら良いんじゃないかな?
それにしても「テルミンの名演奏家」クララ・ロックモアの演奏はすごいです。
譜面も無しに手を微妙に動かす事で音を紡いでいくって、
視覚だけでもすごいんだけど、あの演奏は本物の音楽ですね。
CDあったら欲しい。



7/14 プラットホーム プラットホーム
おすすめはしませんが ジャ・ジャンクー
とても万人にお薦めできる映画ではありません。
映画見ていた人の9割くらいは後悔していたとおもいます。
三百人劇場の椅子固くて辛いうえに結構長い映画だし。
ただ個人的にはなかなか面白いなあ、と感心してしまいました。
映画自体はとても面白いといえる代物ではないのですが
(説明が少なすぎて筋を追うのに疲れるし、ストーリー自体起伏が少ないし)
この映画の伝えたかった雰囲気とか、
「伝えたい」という気持ち自体はすごく良く分かりました。
文革の末期からトウ小平の改革解放へと
中国の舵取りが急激に変わって、
誰もが浮き足立っているそんな様子がよく出ています。
何となく何かが変わりつつあるような雰囲気の中で、
伝統的な価値観は変わり、子供を堕ろした女は失踪し、
文革で徹底的に破壊したはずの資本階級があっという間に復活する、
家族は崩壊する。
日本が明治以降ゆっくりと辿ってきた道のりを
数年で一気に経験した中国の混乱ぶりがよく分かります。
そういうのってチャン・イーモウなどの映画では決して見ることができないもので、
(それらしきことを描いてはいるんだけど、かなりエンターテイメントにくるんでいて、
ある意味「良い題材」としか見ていないところがあると思う)
非常に貴重な映画であるとおもう反面、
チャン・イーモウとかその他のいわゆる「第五、第六世代」の監督は
世界的に見ると非常に異質な(一言でいえば完全な「体制派」)
作家性を持っているんだなあと感心してしまいました。
まあそういうのも中国的で、面白いといえば面白いなあと思うけど。



7/14 ノーマンズランド →Amazon
おすすめおすすめおすすめ ダニス・タノヴィッチ
途中の非常に風刺の聞いた展開なども面白いんだけど、とにかくラストが強烈。
しばらく声が出ません。
戦争について「考える」映画、というより「感じる」映画。
戦争、民族、国連、平和、虐殺、メディア、人間、
いろいろなことについて頭がぐちゃぐちゃにさせられます。
こういう映画を学校とかで見てほしいなあ、と思います。
しばらくして忘れてしまっても良いから、
ぜひ万人に見てもらいたい映画。
すごいです。



7/15 ユリイカ →Amazon
おすすめおすすめ 青山真治
3時間40分と異常に長いのですが、
決して飽きさせない良い映画です。
まあ長いには長いので、映画館で見るには辛いかも。
映画としては良いとか悪いとかいうよりすごい力作。
テクニックに走らないで、しっかり作ってあって好感が持てます。
秀作です。
おすすめです。



7/20 オープンユアアイズ →Amazon
おすすめおすすめ アレハンドロ・アメナーバル
なるほどなあ、と感心してしまいました。
一言で言ってしまえば夢オチなんですが、
単純にそうは言わさせないだけの良さがありますよね。
ただ、これをどうやってリメイクしたのかかなり疑問。
びっくりの要素のない展開で、見れる映画にできるのかなあ?
それともスペイン映画なんてどうせ誰も見ていないから、
まだハリウッドでもヒットすると踏んだのか?
トム・クルーズもなかなかの商売人です。



7/20 いますぐ抱きしめたい →Amazon
まあ ウォン・カーウァイ
天使の涙』と『欲望の翼』を足して2で割ったような映画。
それなりに面白い映画なんだけど、
ウォン・カーウァイ的には少し中途半端かも。
まあ、そこそこ見れる映画です。
それにしてもマギー・チャンはちっとも顔が変わらないです。



7/22 二人の人魚 
おすすめおすすめ ロウ・イェ
すごい良いです。
空想と現実が入り交じった不思議なストーリーはすばらしいです。
それ以上にすごいのが撮影。
終始登場する蘇州河の撮影は絶品。
決してきれいな河じゃないんだけど、
すごく魅力的な風景として撮影されています。
中国の良さがよく出ているなあと感心してしまいました。
良いです。好きです。
おすすめ。
中国第六世代ってすごい良い監督が多いですね。
他にもいろいろと見てみたいです。



7/24 アメリ →Amazon
おすすめおすすめおすすめ ジャン・ピエール・ジュネ
遅まきながらようやく見てきました。
はまりました。
最高です。
フランス語を勉強してパリに行きたいと本気で思いました。
あと、あの犬の絵欲しいです。
面白かったです。



7/26 ロスト・ハイウェイ →Amazon
おすすめおすすめ デビッド・リンチ
リンチワールド全開の異常な世界。
めちゃくちゃ面白かったです。
当然意味は分からなかったけど。
やっぱりデビッド・リンチはこうでないと。
マルホランド・ドライブ』も楽しみにしています。



7/29 メメント →Amazon
おすすめおすすめおすすめ クリストファー・ノーラン
こちらもようやく見ることが出来ました。
もともと映画館で見ようと思っていたんですが、
これはビデオで見た方が正解かも。
一回見ただけでは絶対理解できないですからね。
これは単に時間軸をひっくり返すだけではなく、
それをうまく利用したストーリーがまったく見事です。
アメリカもたまにこういうすごい映画が出てくるんで侮れないんですよね。
おすすめ。


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