12月

12/1 HEART 
まあまあ チャールズ・マクドガル
交通事故で息子を失った母親と、その心臓を移植された男をめぐるスリラー。
前から気になっていた小編で、ようやくチェックできました。
内容的には・・・まあまあかな。
いまいちストーリーがしぼりきれてないような感じはするけど、
ハリウッド映画みたいにむちゃくちゃな展開というわけでもなし。
好感は持てます(?)。
オープニングで母親が血まみれで心臓を運ぶシーンは
なかなか迫力がありました。



12/1 ロスト・チルドレン →Amazon
なかなか ジャン・ピエール・ジュネ
町から子供達が消えていく。
弟を連れ去られたワンは孤児院の少女ミエットと弟をさがす。
デリカテッセン』の続編?というくらい、
完全にジャン・ピエール・ジュネの世界。
ストーリー展開的にはまあまあかなと思うけど、
この独特の世界だけで充分に見る価値がありです。
個人的にはこの美的センスと古典的なストーリーの合体した
エイリアン4』の方がバランス良くて好きかも知れないです。



12/1 ブルー・ベルベット →Amazon
まあまあ デビッド・リンチ
原っぱで偶然拾った人間の耳をめぐるサスペンス。
人間の耳を拾うというスタートから、
どんな世界に入り込んでいくのかと思ったら、
わりと普通のスリラーっぽい展開だったのでちょっとがっかり。
クローネンバーグの『裸のランチ』的世界を期待していたんだけど。
まあ何となく奇怪な、言いしれぬ狂気のただよう雰囲気はなかなか良かったと思いますが。
もうちょっとです。



12/2 チャップリンの女装 →Amazon-
・・・ チャールズ・チャップリン
初期のチャップリンの短編映画。
面白いです。
チャップリンてすごくハンサムだったというのは
良く言われるけど、
女装のシーン(口ひげもなし)はそれがすごく良くわかるかも。



12/2 BARに灯ともる頃 →Amazon
おすすめ エットーレ・スコラ
弁護士の父親と兵役中の息子との2人きりの休日を描く。
主演のマルチェロ・マストロヤンニとマッシモ・トロイージが
ヴェネチア映画祭主演男優賞W受賞。
良いですね。
お互い対話を望みながらいつまでも、最後まですれ違いと
衝突を繰り返す父と息子。
なんかこう言うのが本当の親子なのかな、と
自分のことも忘れて思ってしまいました。
ご都合主義的なストーリー展開のハリウッド映画とは
やっぱり違うと感心してしまいました。
ごたごたしても最後に和解して抱き合って終わりというのは
それは見てる方は楽だけど、
こういう映画を見ると、「あんなのただのうそっぱちじゃん」
って思ってしまいます。
ちなみにこの映画の原題は『Che ora e?』、
たぶん「今、何時?」っていう意味だと思うけど、
(スペイン語に非常によく似てます)
そっちの方が良かったのでは?
二人に必要だったのは高級車でも高級マンションでもなく、
あの時計だった、っていうことだろうから。



12/2 男はつらいよ 奮闘編 →Amazon
・・・ 山田洋次
シリーズ第7作?(たぶん)
面白いですねえ。
それだけです。
シリーズを見てると良く思うのが、
時代の変化。
前にでてきた舟をいっぱい係留してある浦安の川の風景とか
時代を感じましたが、
今回でてきたラーメンやさんは一杯80円。
1971年の作だからちょうど30年前。
30年で物価が6〜7倍になったんですね。
ちょっと感心しました。



12/2 チャップリンの清掃員 →Amazon-
・・・ チャールズ・チャップリン
初期短編の一つ。
まあ、何と言えばいいのか、
面白いです。



12/8 ペパーミント・キャンディー →Amazon
なかなか イ・チャンドン
絶望し自殺を考える一人の男の人生を現在から
過去へと追っていく。
見ていてつらくなっていくような映画。
男の人生の断片断片を時間をさかのぼって見せて行くんですが、
それなりに幸せだったはずの過去から
だんだん人生の歯車が狂っていく、
そこのポイントは明確には描いていないんですね。
まあそんなターニングポイントなんて人生には本当はないのかも知れませんが。
言ってみれば人生の中の時々の場面を投げ出すようにして過去にもどっていく、
そんな流れが何とも真実を見ているような感じがして、
見ていてせつなくなってくる映画です。
韓国映画って言うと『シュリ』みたいな大作が評判になりがちだけど、
結構良い映画を作ってると感心してしまいます。



12/8 男はつらいよ 寅次郎恋歌 →Amazon
・・・ 山田洋次
シリーズ第八作。
志村喬がふたたび登場していますが、
相変わらず存在感があります。
あんまり演技は見られませんが。
それにしてもこのシリーズ、本当にすごい役者がそろってますね。
日本にもこれだけ演じられる人がいたんですが・・・
(何本もやっていて息があっているということもあるんでしょうけど)
まあ最近の邦画なんてほとんど見ていないので、
あんまり比較はできませんが。
やっぱり面白いです。



12/8 蝶の舌 →Amazon
おすすめおすすめ ホセ・ルイス・クエルダ
1936年のスペイン、喘息もちで引っ込み思案だったモンチョは
学校で先生からさまざまなことを教えられ成長して行くが、
次第に戦争の足音が近づいてくる。
久々にむちゃくちゃ泣かされた映画です。
途中まではよくある少年の成長物のようなんだけど、
(それだけでも充分見ごたえはあるけど。「ティロノリンコ」のシーンとか)
ラストで様相が一変してしまいます。
あれだけ強力な(変な言葉だけど)ラストシーンは久しぶりですね。
本当に感動しました。
「だから「さよなら」のかわりに叫んだ 胸、引き裂かれる思いで」
おすすめです。



12/9 冒険者たち →Amazon
・・・ ロベール・アンリコ
海の宝探しもの。それ以上何と言えばいいのか。
この映画、どう見ればいいのか・・・
飛行機・レーシングカー・宝探しに三角関係、
とどめは洋上の要塞での銃撃戦と盛り上がりそうな要素ばかり詰め込んで、
なぜか異常に淡々と話が展開していきます。
いわゆるハリウッド大作に対するアンチテーゼと考えれば話は簡単だけど・・・
よくわかりません。



12/9 ノッティングヒルの恋人 →Amazon
まあまあ ロジャー・ミッチェル
全然期待しないで見てみたんだけど、まあまあだったかな。
根が単純だからこう言う単純な映画でも結構楽しめるのが
自分の長所です。
この映画の舞台となったノッティングヒル、行ってみたいですねえ。
(タイトルになっている割にはあんまりでてこなかったけど)
この映画が公開されて一躍観光スポットになったとのこと、
もしかしたらそれは単に映画の舞台になっているからかもしれないけど、
個人的にああいう庶民的な活気のある町が大好きです。
(海外行くとしょっちゅうああいう市場をうろついています)
イギリス・ロンドンというと何となく気取ったところと言うイメージがあるんだけど、
ああいう生活感のあるところもやっぱりあるんですね。(当たり前だけど)
旅心を刺激されました。
旅行書の専門店というのもGoodです。



12/13 影武者 →Amazon
おすすめ 黒澤明
武田信玄亡きあと信玄の身代わりをつとめる影武者を中心に
武田家の衰亡を描く。
カンヌ映画祭グランプリ受賞作。
恥ずかしながらこの作品は見るの初めてです。情けないことですが。
内容の方はやっぱりすごいとしか言いようがありません。
それ以上のことは言えません。
さすがに『七人の侍』や『用心棒』のようなパワーと迫力はなくなったけど、
画面の美しさはより一層鋭く、力強くなってきていると思います。
(カラーになってからは特に)
まさに「映像詩」です。
山県昌景の「これまでじゃな」、感動しました。
見ておかないといけませんね。



12/14 薔薇の名前 →Amazon
なかなか ジャン・ジャック・アノー
13世紀、北イタリアの僧院で起こった連続殺人をめぐるミステリー。
よく夜中にやっているような雰囲気の映画ですが、
なかなか面白かったです。
だからなんだと言ってしまえばそれまでの映画なんですけどね。
中世的な雰囲気とミステリアスなストーリーがよくマッチしてました。
そもそもあんな本さっさと焼いてしまえばトラブル無かったんでしょうけど・・・



12/14 シザーハンズ →Amazon
まあまあ ティム・バートン
手がはさみの人造人間が、化粧品セールスの女性の家に引き取られる。
純粋な心を持つ彼は町の人々に受け入れられるのだが・・・
ティム・バートンらしい雰囲気、ジョニー・デップも良くってなかなか
面白かったんですが・・・
果たして最後をあんなに盛り上げる必要はあったのでしょうか?
もう少し落ち着いた映画を期待していたんですが。
ティム・バートンといえどもやっぱりハリウッドの人間なのかなあ?
とちょっとがっかりしてしまいました。



12/22 萌の朱雀 
おすすめおすすめ 河瀬直美
山村の一家族の愛と離散を描く。
カンヌ映画祭カメラドール(新人監督賞)受賞。
前々から気になっていたのですが、ようやく見ることができました。
(そもそもレンタルビデオ屋にあるとは思っていなかった)
予想以上に素晴らしいできです。
日本にもまだこれだけの監督がいるんですねえ。
感心しました
感情を抑えた淡々とした演出は「感動」というのとは違いますが、
じっくりと見せてくれたと思います。
ちなみにこの映画、雰囲気がすごく小津安二郎の映画に似ていると思いました。
(とかいって小津作品は二本しか見ていませんが)
淡々と静かに物語を紡いでいく雰囲気とか。
この雰囲気こそ澁澤龍彦の言う「詩を殺す」ことなのかなあと
感じてしまいました。
まあラストの方とか完全に「詩を殺」しきれていないかなあと言うところはありましたが・・・
とにかく河瀬監督は非常に期待大です。
ほかの作品もぜひ見てみたいです。



12/22  →Amazon
おすすめおすすめおすすめ 黒澤明
『リア王』を下敷きに父親と三人の息子の争いを描く大作。
昔途中から見たことはありましたが、通しで見るのは今回が初めて。
黒澤明作品といえば『生きる』が最高傑作だとずっと思っていましたが、
その気持が揺らぐほどの大傑作でした。
何かのドキュメンタリーの中で監督は、より大きな作品(『乱』)をとるための
下準備として『影武者』をとる、と言っていたようですが、
全くその言葉にふさわしいだけの出来映えだったと思います。
『影武者』の中で「迫力が無くなった」なんて書いたけど、
まったくの失言でした。
とにかくすごい作品です。
見て本当にびっくりしました。
感動しました。



12/23 屋根 
まあまあ ヴィットリオ・デ・シーカ
戦後の住宅難の中で家をさがす若い夫婦の姿を描く。
イタリア・ネオリアリスモの旗手、デ・シーカ監督の初期の作品。
『萌の朱雀』『』という傑作のあとでは、
どうしても見劣りがしてしまうのは仕方がないのでしょうか。
取り立ててどこがどうということはないんですが、
わりと淡泊な映画でした。
正直なところラストも予想通りでしたしね。
まあ、巨匠の初期の作品ということです。



12/23 生きる →Amazon
・・・ 黒澤明
自分の死期を知った小役人が残りの人生を真に生きる道をさがす。
ベルリン映画祭銀熊賞(準グランプリ)受賞。
個人的に黒澤作品の中で最も好きな映画。
』も良かったけど、やっぱりこっちです。
(私が尊敬するもう一人の天才手塚治虫も
生涯に見た映画の第2位にこの『生きる』をあげています。
ちなみに1位はたしかジョン・フォードの『駅馬車』。
黒澤映画の次点として『生きものの記録』が第5位に入っているあたり、
やっぱり見る目が違う、という感じがしてしまいます。
なお『生きものの記録』は私は未見です。)
映画館でもう4、5回見たと思いますが、
今回もシャツがびっしょりになるまで涙を流してしまいました。
寸分の狂いもないストーリー展開と場面構成、
まさに完璧な映画です。
まあ、完璧すぎてどうも・・・という人もいるようですけどね。
とにかく見ないとダメです。
ところで今まで何度も見てきたのに気がつかなかった点が二つ。
作品の中で直接「メフィスト」と言っているので逆に気がつかなかったんだけど、
「ファウスト」を下敷きにしているんですよね。
死期を目前にして人生の意味を見失った老人、
メフィストの登場、ワルプルギスの夜、マルガレーテ、
そしてラスト、「時間よとまれ、お前は美しい」(訳はどうでも良いけど)
今から考えてみると、なんで今まで気がつかなかったのか、という感じですが。
もう一つは医者から「軽い胃潰瘍」と告げられて外套を落とすシーン、
主人公渡辺勘治のキャラクターがゴーゴリの『外套』の
主人公アカーキイ・アカーキエウィッチとだぶってしまいました。
白痴』や『どん底』などロシア文学をもとにした映画を撮っている黒澤監督ですから、
『外套』の影響もあるんでしょうね。
いずれにせよそんな細かいつっこみはどうでも良くて、
とにかく素晴らしい映画です。
はっきり言ってこれを見ていない人は不幸だと思います。



12/24 バグダット・カフェ →Amazon
まあ パーシー・アドロン
アメリカの砂漠の中のモーテル、バグダット・カフェに流れ着いた
ドイツ人女性とカフェの人々との交流を描く。
雰囲気はなかなかいいんですが。
ストーリー的にはちょっと・・・陳腐かなあと言う感じも。
あとなんか全体的な時間の配分もなんか変な感じもしました。
余計なところばっかり時間がかかっていて、
肝心なところは説明不足のような。
まあそこらのハリウッド映画よりもよっぽど良いというのは確かですが。



12/24 ゴージャス →Amazon
まあ ヴィンセント・クック
ストーリーは、何というか、いろいろです。
家に帰ってきてテレビをつけたらやっていたのでつい見てしまいました。
なんかいろいろな映画の寄せ集めみたいな感じですが、
まあそれも香港映画の良さかも知れませんね。
まあ、まあという感じです。



12/9 3つどもえ事件  →Amazon-
・・・ チャールズ・チャップリン
初期の短編映画。
なんだかわけが分かりませんでした。
それは面白いには面白かったんですが、
ストーリーが何やらさっぱり・・・?
チャップリンのアクロバティックな
アクションはなかなかでした。



12/9 アルコール先生公園の巻  →Amazon-
・・・ チャールズ・チャップリン
同じく初期の短編の一本。
よくわからなかったです。
というかラストの方は寝てました。
さすがに仕事をしたあとに映画を見るのはつらいみたいです。



12/30 生きない →Amazon
なかなか 清水浩
ダンカン脚本主演のブラックコメディー。
沖縄自殺バスツアーに普通の女の子が紛れ込む。
まあ面白かったですね。
すごく、ではないような気がしますが。
なんというか可もなく不可もなくという感じ。
ちょっとした小品です。



12/30 白痴 →Amazon
まずまず 黒澤明
ドストエフスキー『白痴』の映画化。
北海道を舞台に純真な青年の愛を描く。
黒澤明の「これ以上切るなら縦に切れ」の名ぜりふで有名な映画。
確かに長いです。
どうも黒澤映画らしい迫力が無いというか・・・
ところどころ黒澤明っぽいところはあるんですが、
ラストとか、でも全体的にはどうも。
三船敏郎や志村喬の演技もなんか中途半端だし。
そんな感じかな。



12/30 鮫肌男と桃尻女 →Amazon
まあまあ 石井克人
各所で結構評判が良かったので見てみました。
なかなか面白かったんですが、そこまで・・・という感じも。
場面場面は面白いんですけど、全体としてはいまいちかなあ。
まあそこらのハリウッド映画よりもずっと良かったですが。



12/31 チャップリンの独裁者 独裁者
なかなか チャールズ・チャップリン
独裁者ヒンケルとユダヤ人の床屋を通してヒトラー政権を風刺した名作。
名シーン多し。
言わずと知れた名作、という視点からしか見れなかったような。
面白いし、いろいろなシーンには「あー」という印象はあったんだけど、
(単に「あー」です)
全体としてみるとどうかなあ?
非常にまとまっていて良い映画なんですけど、
今ひとつぐっと突き刺さってくるものがないようなんです。
まあそういうのは見るときのコンディションにもよるんでしょうけど。
とりあえず一度は見ておくべき名作。



12/31 男はつらいよ 柴又慕情 →Amazon
まあまあ 山田洋次
シリーズ第9作。
2代目おいちゃんの松村達雄が登場。
なんか全然雰囲気が違いますね。
初代の森川信よりも江戸っ子っぽくって、
「柴又」という雰囲気にはあっていそうだけど、
森川信の「あー、やだやだ」っていうほうが、
なんか雰囲気が出ていておかしかったと思います。
まあ自分の場合は1作目から順番に見ていったからそういう思い入れがあるだけで、
普通の人には松村達雄のおいちゃんが普通なんでしょうけど。
相変わらず面白かったです。
いろいろな準備をバタバタしながらだったんでちゃんと見れなかったけど。


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