1月

1/3 キャラバン →Amazon
損はしないと思います エリック・ヴァリ
初めの方は、「ちょっと失敗したんじゃないかなあ・・・」という
おそれをいだいてしまった映画。
ということはつまり良かったというわけなんですが。
内容的には非常にありがちな世代間の葛藤を描いているのですが、
見物はなんといっても途中のヒマラヤの雄大な風景です。
一言で「美しい」と言ってしまうのがはばかられるほど。
湖の毒々しいまでの青さ、山のまさに残酷としか言いようのない雪。
すごいです。
その荒々しい自然の中をちっぽけなキャラバンが、
何百年もいやおそらく何千年も、
変わらぬ姿で旅を繰り返しているんだということを考えると、
我々の「文明」って一体なんなんだろうと思ってしまいます。
渋谷の真ん中でこんな映画をやっているというのもなんか、
象徴的なような感じがします。



1/4 アビス →Amazon
あんまり・・・ ジェームズ・キャメロン
深海版『未知との遭遇』?
そのまんまです。
いかにもハリウッド大作らしく、サービス精神が旺盛すぎる上、
「完全版」とのことで長すぎてちょっとつらいものがあります。
見ている間は楽しめる、
見終わったら、はい終わりましたという、
典型的ハリウッド映画じゃないでしょうか。
もう一度見たい、と思うのが良い映画だと思うんですけど、
その点失格です。



1/4 グラン・ブルー →Amazon
映画館で見ましょう リュック・ベッソン
数年前「公開10周年記念オリジナル版」を映画館で見て以来、
2度目です。
やっぱり映画は映画館で見るべき、というのをつくづく感じました。
それだけです。
ちなみに今回見たのは「完全版」だったんですが、
「完全版」だから良いという感覚(ってないですか?)
はどうかとおもいます。
映画を監督で見るのであれば「ディレクターズカット」が
本来の姿なんでしょう。
それを切り捨てられた画面もつなぎ合わせて
「完全版」というのはどうかと・・・
長けりゃいいというもんじゃないと思います。
(ちなみに「オリジナル版」では油田のシーンとかがカットされています)
ついでにもう一つ。
この映画では水深120mが人間の限界といっていますが、
アビス』では水深600mの海中を人間が泳いだりしています。
まあ『グラン・ブルー』を引き合いに出すまでもなく、
変なんですけどね。



1/6 サブウェイ →Amazon
結構面白い リュック・ベッソン
パリの地下の『不思議の国のアリス』みたいな物語。
本当にパリかどうかは分からないけど。
結構面白い小品です。
主演女優のイザベル・アジャーニ。
めちゃくちゃキレイです。
ヨーロッパの女優って(特にフランスはそうだけど)
ハリウッドの女優と美しさがひと味違います。
本当にきれい。
ベッソンってすごく女優を見る目があるんだなあと感心してしまいました。



1/6 サーティーンデイズ →Amazon
かなり ロジャー・ドナルドソン
ものの分かった人ならかなり楽しめると思う作品。
ものの分かったと言っても、常識の範囲です。
キューバって何処?カストロって誰?フルシチョフは?
確認するまでもないことだとは思うんですが、知らない人がいそうで・・・
この映画、主演はケビン・コスナーとなっていますが、
ケビン・コスナーは狂言回しみたいな役柄で、
本当の主役はケネディ兄弟だと思います。
実際にこうだったら(そうだったんだろうけど)
ケネディ大統領ってすごいですよね。
軍部などまわりから突き上げをうけながら、
一歩間違えば第三次世界大戦、全面核戦争を引き起こしかねないような
決断を次々にこなしていくんですから。
アメリカ合衆国大統領というとまさに世界最大の権力者ですが、
この映画を見ると、こんな仕事ごめんだという気になってしまいます。
常人にはとてもつとまりません。
けっこうおすすめ。



1/7 コンタクト →Amazon
まあまあ ロバート・ゼメキス
めちゃくちゃ面白いというわけではないですが、
それなりに楽しめる作品。
なんか可もなく不可もなくというか・・・
印象の薄い映画。
面白いんですけどね・・・
何処が良かった?と言われると答につまるような感じです。
さすがに科学者が原作を書いただけあって、
ハリウッドっぽい荒唐無稽さが無く
そこはかとなく知性が感じられる映画。
逆に優等生過ぎるところが玉に瑕なんじゃないかなあ。



1/7 花の影 →Amazon
チェン・カイコー好きな人に チェン・カイコー
いかにも『覇王別姫』の監督っぽい雰囲気、映像、映画。
なかなか良いなあと思いつつ見ていたんですが・・・
長いです。
ターミネーターのごとく終わりそうで終わらないラスト近くは
すっかりびっくりしてしまいました。
コン・リーがきれいでした。
ところでこの映画の原題は『風月』。
なんで『花の影』なんでしょう?
別に『風月』で良いのに・・・
チャン・イーモウの映画もそうだけど、
中国語の映画ってなんか日本語のタイトルが変です。
英語のタイトルはほとんどがそのまま流通して、
漢字のタイトルばかりがいじられるのって、すごく変です。



1/7 リトルブッダ →Amazon
・・・ ベルナルド・ベルトルッチ
ひどいひどいという評判は聞いていましたが、
本当にひどい作品。
暗殺の森』の詩的というより詩そのものの映像表現も消え、
内容も実に表面的なブッダの半伝記映画。
『リトルブッダ』というだけあって、手塚治虫の『ブッダ』を読んだ方が、
何万倍も面白いし意義があります
(というか『ブッダ』『火の鳥』は小学校の授業で読むべき)。
特にブッダの伝記部分は大問題で、
神話的色彩、つまり「奇跡」にばかり力点が置かれて、
「教え」がほとんど全く語られていない。
イエスが水を葡萄酒に変えたとか、
めしいの人の目を開いたとかいう奇跡と、
ブッダが生まれてすぐ七歩ずつ四方に歩いて
「天上天下唯我独尊」と叫んだという伝説とは
(別にこれは映画には出なかったけど)
全然意味が違うと思うんです。
イエスは「神の子」なんだから奇跡を起こすことが
その神性の証明であり重要なんだろうけど、
ブッダは人々を教え導く普通の人間、
教えこそが重要なのであり、
水をコーラに変えるとか(それはアシタ聖者だ)いうのは、
後世の人間が神聖化するためにでっち上げた伝説なんだから。
そこら辺、いかにも西洋の(キリスト教圏の)
価値観をそのまま持ち込んでるんじゃないか、という感じがしてしまいました。
そういえば『ブッダ』では単行本になるときにカットされたという
悟りを得る前後の悪魔の軍勢との対決
(雑誌連載時にはあったが、伝説っぽすぎてつまらないので
カットされたとかいうシーン。見たことはない)
が、この映画の伝記シーンのクライマックスになっているのはいかにも象徴的です。
まあ俺だって仏教については『ブッダ』で読んだ知識しかないので、
えらそうなことは言えないんですが。
これから勉強したいと思っています。



1/8 逃亡者 →Amazon
暇つぶしには アンドリュー・デイビス
コンタクト』的優等生映画。
いまいち盛り上がりに欠ける展開(良いんだけどすごく単調)
いかにもという黒幕、ラスト(ハリウッド映画に良くある)。
印象の薄い映画。
トミー・リー・ジョーンズがなかなかかっこいいのが救いかな。



1/8 フィッシャーキング →Amazon
意外と良かった テリー・ギリアム
「テリー・ギリアムの映画」を期待するとちょっと拍子抜けかな。
全然「らしさ」がない映画。
とはいうものの映画自体はなかなか面白かった。
駅(かな?)でみんなが踊り出すシーン、
中華料理店のシーンなんかは良かったです。
テリー・ギリアムの毒みたいなものはほとんどないんだけど、
逆にまあさっぱりとできていてそれはそれで面白いという映画。



1/10 アラビアのロレンス →Amazon
一度は見ておくべきでしょう デビッド・リーン
映画史上に残る巨編・有名な映画です。
見たことあるかと思っていたけど、今回はじめてみました。
内容は割と単純なヒーローものかと思っていたんですが、
そうではなくて結構意外でした。
単なる英雄ではなく、一人の人間として、
イギリスとアラブの狭間で悩む、
そこら辺にいかにも人間らしい複雑さがでているのですが、
逆に映画としてはあまりにも複雑すぎて、
何を考えているのかわからない人にも見えてしまうんですが・・・
まあ何はともあれこれだけ有名な映画なので一度は見ておくべきなんでしょう。
ところでこの映画を見ている内に大カゼをひいて寝込んでしまいました。
熱に耐えながら見ていたのでちゃんと理解していないだけかも。



1/14 グリンチ →Amazon
あんまり・・・ ロン・ハワード
ジム・キャリーがうるさい、そんな感じの映画。
まあ持ち味を出しているだけなんですけどね。
単なる独り舞台で映画になじんでいないような・・・
やたらにつくりこんであるフーヴィルも統一感にかけて、
印象悪いし。
隅から隅までアメリカ的センスの映画。
まあ正月もとうの昔の今頃に、クリスマス映画を見ているのも問題なんだけど。
子役の女の子がかわいいのが救いかな。



1/14 レッドプラネット →Amazon/a>
・・・ アントニー・ホフマン
マトリックスのキャリー・アン・モスが今度は無重力で飛ぶSF映画。
はっきり言って何が何やらわかりません。
筋は単純明快、でも「要するになんだったの?」というのが
さっぱりわからない映画です。
適役のメカの造形と、キャリー・アン・モスは見る価値あり。
ほかはちょっと・・・
ところで途中にでてくる「虫」、
実は人間が遺伝子工学で作ったっていうオチかと思ったんですが・・・
それじゃあまりにもナウシカっぽ過ぎる?



1/20 メンインブラック 
→Amazon
暇つぶしに バリー・ソネンフェルド
どうかなあと思いつつ見たんだけど、
それなりに良くできていたと思います。
可もなく、不可もなく、といった感じで、
展開もおそろしく古典的な持って行き方なんだけど、
なによりバランスが良いです。
見てくれよりは良くできているんじゃないかな。
さすがにスピルバーグ、見せ方は心得ているなといった印象です。



1/20 真実の行方 →Amazon
面白いです グレゴリー・ホブリット
完全にエドワード・ノートンの独り舞台の映画。
リチャード・ギアもフランシス・マクドーマンドも形無し、
さすがにすごいです。
映画全体としてはおかしなところも多々あるんだけど、
(映画のオチは面白いと思うけど、
オチが「真実」であるなら、そこまでのつじつまが合わない、
どころか筋はめちゃくちゃのような気がする、その他いろいろ)
エドワード・ノートンの演技だけで十分見る価値があります。
残念ながらエドワード・ノートンをいかしきれていないような気もするんですが。



1/20 インデペンデンスデイ →Amazon
映画館なら ローランド・エメリッヒ
想像力/創造力C級以下のネタを金とSFの大量投入でそれなりに見せる映画にした、力わざの一本。
こんなくだらないネタを良くまあここまで見れる映画にしたもんだと感心してしまいます。
いつも思うけど、こういう映画って1mmでも引いてみたら負けですね。
宇宙船にカミカゼ攻撃するシーンなんて、正気で見れば目が点になるようなばかばかしさ。
ひたすら感情移入してみるのがこつなんでしょう。
そういう点ではやっぱり映画は(特に大作は)映画館で見るべきなのかも。
ちなみにエイリアンの侵略と言えば筒井康隆の『虚航船団』。
超A級の想像力/創造力というのはこういうことを言うんです。
日本が誇る「奇書」。
こんな映画を見るよりはこっちを読みましょう。



1/21 ニキータ →Amazon
見る価値はあるかも リュック・ベッソン
うーん、評価の難しい映画。
と言うか面白くなかった。
何でかな?
主役のアンヌ・パリローが好きになれなかったせいか。
レオンの方がずっと好きです。



1/27 イノセントライフ 
まずまず アーケ・サングレン
いかにもヨーロッパの映画っぽいセンスを感じます。
すごく良い、とはいかないまでも、なかなか良くできた小品です。
スウェーデンの風景・風俗なんかはなかなか見物じゃないかな。
北欧の景色なんて滅多に見る機会はなですからね。
なかなか興味深いです。
しかしこの映画時代背景がちょっとわからなかったんですが・・・
だいたい第二次大戦前だろうとは思うんですけどね。



1/27 ライフイズビューティフル →Amazon
オリジナル版を ロベルト・ベニーニ
映画館で2回も見たんですが、つい見てしまいました。
良い映画は何度見てもいいものです。
テレビ版でまず気になったのはやっぱり吹き替え。
ひどいということはないと思うんだけど、ちょっと・・・
日本語の「こんにちは、お姫様」と
イタリア語の「ボンジョールノ、プリンシペーラ」の間には
ちょっと越えがたいみぞがあると思うんですが。
海外では吹き替えが常識というけれど、
やっぱり『七人の侍』で三船敏郎が英語やフランス語をしゃべるのは
想像できません。
もう一つは編集の問題。
カットされたシーンで気がついたのは、小学校で演説するシーンとパーティーで算数の話をするシーン、
ジョズエが強制労働の現場へ来るシーン。
算数の話なんかはかなり重要だと思うんだけど・・・
映画のテーマがユダヤ人迫害の弾劾ではないにしても、です。
映画をテレビ用に短くするのってつらいでしょうね。



1/27 brother →Amazon
面白い・・・ 北野武
なかなか面白いです。
北野武というとどういうわけか見る機会が無くて
(見たいとは思っているんだけど)、
これが初めてに近いです。
その昔『その男、凶暴につき』なんかは見た記憶はあるんですが。
(内容はほとんど覚えていない)
芸能人の道楽、みたいに見られていたあのころから考えると、
ずい分と出世しましたねえ(俺が言う事じゃないけど)。
ところでこれほど「日本発、世界向け」を意識した映画って
今までには無かったんじゃないでしょうか。
日本人とは何か?
とても面白いアプローチだと思います。



1/27 追撃者 →Amazon
つまらない・・・ スティーブン・ケイ
brotherと2本で1200円ということでついでに見ました。
と言い訳しないといけないくらい客が入っていない見たいですね。
内容的には非常に非常に乱暴な映画。
ストーリー、展開、ラスト、全てにおいてめちゃくちゃ乱暴です。
そういう意味では結構見応えあり、ある意味面白いです。
ところでこの映画ではレイチェル・リー・クック演じる姪用(おそらく)の
iMac(ライム・要は緑)が出てきます。
隣には青のスケルトンのストレージ(Zipかな?)なんかも置いてあったりして。
映画ではそのiMacを使ってシルベスタ・スタローンが
ポルノCD-ROM(というか・・・)を見たりします。
観賞、という意味ではありませんが・・・
そういうシーンからいっても乱暴です。
ちなみに悪役にはビル・ゲイツもどきが出てきたりして、
結構Mac好きの映画かも。



1/28 蜘蛛女 →Amazon
まあまあ? ピーター・メダック
雑誌で結構面白そうな書き方をしていたので見たんだけど・・・
ちょっと物足りないような感じ。
もったいない映画です。
悪くはないと思うんですが。


前の月 top 次の月