ヴェネチア

その一 3/9


3/12 3:53 ドバイ行き機内にて

 そろそろ離陸。搭乗するとき乗組員に「おはよう」と言われて「まだ夜中だぞ?」といぶかしく思ったのだが、もう日本時間に合わせてるんだろうな。日本時間で朝九時になるところである。
 3/9分。書いても書いても追いつかない。ヴェネチア()(この辺)第一日目。朝七時ちょっと前に活動開始。とりあえず外に出てみるが運河のかけらも見えない。どうやら例によってメインターミナルとは違う駅に下ろされたらしい。ちなみに列車は二十分くらいずつ遅れていたのだが、イタリアだからだろうか、ストの影響だろうか。
 メインターミナルに到着。駅を出るとすぐ目の前が大運河()で、様々な船が行き交っている。まずはボートチケットを購入。24h券15€、48券で25€。高い・・・。プラハが24hで80kc(450〜500円くらい)、ウィーンで5€なんで段違いの値段である。値段が高いせいかチケットのチェックも結構頻繁にある(といっても二日で四、五回だが)。ボートなのでその分高い、と言われると納得できないこともないが。
 でユースホステル紹介ページの指示通り42番のボートに乗りZittelleで下りて、ホステルに到着。この日は金曜なのだがどこもほとんど満員だったので、前日ザルツブルクのネットカフェから予約しておいたので問題無くチェックイン。ただしチェックインは一時半からということで、まずはロッカーに荷物を預けて(1€取られた。有料かよ)街に出発する。


3/12 20:25 関空待合室にて

 杵屋で久々の和食を食べてきた。カレーうどんとネギトロ丼のセットで980円。なんでこんなことをわざわざ書くのかというと、ヨーロッパから帰ってきた感覚として、この値段は非常に「安い」。980円というと大体6€ちょっとだが、6€でこの食事をするのは、西ヨーロッパではかなり困難だと思う。長く住んでいればそういう店も見つけることができるだろうが、二日三日滞在の旅行者がこの価格でこれだけの食事をするのはまず不可能だと思う。日本で良かったなあ、としみじみ感じた。
 ヴェネチアの続き。ユースホステルを出てまずはサンマルコ広場()へ。ホステルの近くのボート乗り場から一駅、運河のちょうど対岸である。ホステルは中心の島ではなく南の別の島にあるので一見不便そうだが、観光には意外と便利である。
 サンマルコ広場のボート乗り場で下りてその辺の路地(細くて入り組んでいてまさに迷路である)をうろうろしたあと広場へ出る。観光客、特に日本人ツアー客が多い。すごい数である。ハイシーズンでもないのにずいぶんいるもんだなあ、と思ったら、まさに大学の卒業シーズンであることを思い出した。俺も三月はインドに行ってたもんなあ。
 で、まずはドゥカーレ宮殿()へ。値段は忘れたけどたしか8€くらい。広い。部屋がやたらにたくさんある上、それぞれの部屋に大量の天井画や油絵があるので、ひとつひとつ見ていくとものすごく疲れる。ここの絵画では、広大な議場正面の巨大な『天国』が一番有名なようだが、個人的には巨大な地球儀や世界各地の地図がずらっと並んでいる部屋が印象的だった。世界各国の施設の待合室か何かだったかな?貿易で繁栄した共和国の力の象徴のようで、非常に興味深い。
 ・・・飛行機に搭乗した。羽田行き。
 宮殿を出てその後広場に面する大聖堂()を見学したあとに、その向いの時計塔へ。
 ・・・この辺のイタリアの建築について思い出すと、ローマに行けなかったことが返す返すも悔しく、残念である。腹が立つ・・・
 時計塔。時計じゃなくて鐘楼だったかも。たしか6€。エレベータが一基しかないので二十分くらい並んだのだが、土日はもっと長く待つんだろうなあ。やはり日本人多し。半分近くが日本人と言う印象である。塔の上からの眺望は素晴らしいの一言。ヴェネチアの美しい街並を一望できる。太陽は初夏を思わせるほど燦々と輝き、海はきらめいている。運河を船が行き交い、海風が気持ちよく吹き抜ける。素晴らしく気分がいい。日本人観光客の一人が「イタリア人がああ陽気な理由が分かる」みたいなことを言っていたが、全くそういう感じ。これこそがあのイタリア人気質を生んだ土壌なのだろう。
 塔を下りて広場から再びボートにのり運河をのんびりと(という印象で)駅まで移動する。駅でフィレンツェ行きとローマ行きの時刻を調べる。都市間が中途半端に近過ぎて移動がしにくい。その後構内のスタンドでピザを一切れ昼食に食べる2.2€。
 駅からホステルに戻り、チェックインして部屋の中で靴下を洗濯したり、iBookで写真を整理したりして、四時くらいに再度出発。まずはすぐ隣のサンジョルジュ教会()(独立した島全体が教会になっている)へ。
 聖堂内部を見学したあと(装飾自体はそれほど見どころは多くない)鐘楼へ登る。エレベータ代3€。こちらもまた素晴らしい眺めである。サンマルコ広場の塔からヴェネチアの市内を一望できるのに対し、こちらからは周辺の島々や海をきれいに見ることができる。どちらもおすすめである。
 ここでは夕方には少し早過ぎたのでしたに下りてムラーノ島()へ行き、ヴェネチアに沈む夕陽をムラーノから眺めることにする。サンジョルジュにもう少し遅く来た方が良かったかな、とも思ったが、五時くらいに下りた時にはチケット売り場はもう閉まっていたので、塔の上から夕陽を眺めるというのは無理なようだ。
 で、まずはサンマルコに移動してムラーノ行きの船を待つが、待っているうちに日が沈んでしまい(良い景色である)、ムラーノにはすっかり暗くなってしまってから到着した。まあとりあえずぶらぶらしよう、ととっくに閉まっているヴェネチアングラス()の店のショーウィンドウを眺めつつ歩く。途中にスーパーがあったのでフルーツジュースとビスケット、チョコレートなどを買い込んで、その後の旅に備える。真っ暗なムラーノの島を散歩して回ってからボートに乗って駅に行き、結局フィレンツェ行きの列車の座席を予約して、駅の食堂でパスタを食べてホステルへ戻る(これでヴェネチアの外周をボートでぐるっと一周したことになる)。
 部屋に戻ってその日の写真の整理などをしつつ、ネットカフェに行こうかどうか迷っていたら、部屋の窓際で思いがけず流れ電波を発見。メールをチェックしてびっくりする。
 ・・・俺の旅行をどこまで邪魔すれば気がすむんだ・・・


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