オスヴィエチム
その一 3/3
続けて3/3分。朝六時起きでバタバタと準備をし、荷物をフロントに預けて出発。6:50発の電車に乗り、8:10頃にオスヴィエチム(→)(この辺)の駅に到着。その昔ドイツ人がアウシュヴィッツ(→)と呼んでいた街である。駅前のバーでザピエカンカをかじり朝食。朝八時からビールを飲んでいるおじさんがいた。
駅から二十分ほど歩いて博物館に到着。塩山みたいにバカ高い入場料を取られたらいやだなと思っていたのだが(お金がもったいないということではなく、見せ物みたいで気分が悪いので)、さすがにここは入場料とかそういうのはいっさい無かった。
入口の博物館を一瞥し、「Arbeit Macht Frei」の門をくぐって中へ。似たようなレンガ造りの建物が整然と並んでいる。言っちゃ悪いが何ともドイツっぽい。それぞれの建物に何らかの展示がしてあるので、そのうちのいくつかを見て回る。第二次大戦の経過や各国の収容者の説明など。ツールスレーンのように犠牲者の顔写真がずらっと並んでいる廊下や(多くの人が収容一、二ヶ月、長くても十ヶ月で亡くなっている)、当時のままの木のベッド、拷問部屋や隔離部屋(?1m四方の部屋に四人を入れて一晩中立たせ、昼は強制労働をさせた)などもあるが、一番怖かったのは戦争犯罪証拠館である。犠牲者の眼鏡の山、靴の山(1、2歳程度の子供のものも多い)、髪の毛の山(ドイツの繊維製品の材料として使っていたとのこと)などが展示されている。すごい量で何とも生々しく気持ちが悪い。ただ同じような建物が並んでいるうちの一つで場所が分かりにくい。
収容施設の他に小型のガス室が完全な形で残っていて中を見学できる。ガス室の隣には死体焼却室があるのだが、天井は煤と油で真っ黒になっている。近くの住民は当時、煙突から立ち上る煙を毎日眺め、死体の焼ける匂いを毎日かいでいたそうだ。
Jacekの話によると展示は以前に比べてかなりマイルドになったとのこと。侵略国の残虐さをことさらに強調して政権の正当性を主張するのは共産党の常套手段らしい。
そこから二十分ほど歩いてアウシュヴィッツ2、ビルケナウ収容所に移動。ホロコーストというとアウシュヴィッツが最も有名だが、実際の虐殺はこのビルケナウで行われていた。ヨーロッパ各地からユダヤ人を満載した列車がビルケナウの「死の門」を通って収容所に到着し、ドクターチェックで強制労働に供用可能な人を選り分け、残り(75%程度)は列車から直接ガス室に送り込んで虐殺したとのことである。当初予定していた列車の時刻は迫っていて、こちらに来たらバス(俺はパスを持っているので列車ならタダで乗れる)を使わざるを得ないのだが、こちらを見ないで帰るわけにもいかないので仕方ない。
ビルケナウはアウシュヴィッツの3〜4倍くらいの広大な敷地で、正面からまっすぐ進み左右のガス室の残骸と慰霊碑を見て右手に進み、収容者処理室(髪を剃ったり入れ墨を入れたり)と二つのガス室のあとを見て南へ戻り、少しだけ残っている収容施設を眺めて外へ出る。こちらにはアウシュヴィッツのような展示はない。
駅に戻り朝と同じバーで食事(スープ)。ポーランド料理はどれもそうだが「すごくおいしい!」ことは無いのだがハズレもなく、どれもそこそこおいしい。
冷たい雨の降る中バスに乗って(疲れと昼食のビールでバスの中では熟睡)クラコフの街に戻り、ホステルで荷物を引き取ってバス停に行き、ザコパネ行きのバスに乗る。15zl。
15:45発のバスで18:20くらいにザコパネ(→)(この辺)に到着。まずは当然ホステルに向かって部屋を確保。4〜500人泊まれるらしい巨大な建物で、ドミで一晩22zl。安い。部屋に荷物を置いて街を散歩する。
クラコフ駅でJacekと別れてその直後に問題発生。クラコフからウィーン行きの列車に乗るつもりだったのだが、この列車、実は寝台車のみで予約が必要だと言われてしまった。プラハ行きの車両に乗って(この列車はプラハ行きとウィーン行きが一緒になっていて途中で分かれる)ペトロヴィッツァというところで乗り換えなさいと言われたのだが(1:13着)そんな夜中に電車があるのかな?寝過ごしてプラハまで行っちゃったらどうしよう。またヨゼフに会いにいくか。
3/3続き。ザコパネの街を二人で散歩。土曜ということもありたくさんの観光客が歩いている。いかにもリゾート地という感じで街並自体は取り立てて特徴があるわけではない。道端の屋台でチーズを購入。羊の乳で作ったチーズでこの辺の特産品の一つらしい。ホステル近くのバーで食事(スープ)。まあ安くておいしい。続いて近くのバーでホットビール(イチゴだかなにかのジュース入り)を試飲。6zl。甘い。これはいただけない。チーズを頼りに何とか飲み終えることができた、という味。ホステルに戻って就寝。
そうそうこの日はホステルで面白い人にあった。Jacekがポーランド語で話をしていて、俺は直接にはほとんど話をしていないんだけど、何でもかなりの登山家で、エベレストはじめ8000m級の山三つに登頂した経験があるらしい。エベレストに登頂した人にあうなんてたぶん生まれて初めてである。サインもらっておけば良かった。
今日の歩数 32056歩
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